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プロフェッショナルの厳しいこだわりを満足させろ。
滑りにくさを追求したCPグリップソール。

前号はアシックスワーキングシューズを研究開発した、アシックススポーツ工学研究所の
概要とビジョンについてご紹介した。今号はアシックスワーキングシューズの特長のひとつ、
CPグリップソールを中心に研究開発の最前線をご案内しよう。

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現場では力強いグリップ性を、 喉から手が出るほど求めている。
ワーキングシューズに特化した、
優れたグリップ性をもつソールが必要だった。

ここはアシックススポーツ工学研究所のバイオメカニクス実験室。さまざまな運動時の体の変形や負荷を分析して、その結果に基づいて製品に必要な機能を研究開発しているのだ。具体的には被験者の体の各所にマーカーをつけ、その動きを特殊なカメラで読み取ることで、複雑な動作を精密にコンピューターに伝えることができる。それによって体や製品の動きがわかる仕組みだ。先ごろ話題になった怪獣映画のCG制作にも使われた先端技術である。ここからは同研究所のフットウエア機能研究部、坂本将規に案内してもらおう。彼はCPグリップソールの開発プロジェクトに携わった研究員だ。

坂本 バイオメカニクス実験室ではワーキングの現場の動きを一から見つめ直し、それぞれの作業時の足の状態を分析しました。

CPグリップソールは、ソールの素材を一からつくり上げたという経緯がある。そもそも素材開発に取り組むことになったきっかけは、何だったのだろうか。

坂本 きっかけは現場の声でした。油で汚れたり、足場の悪いところで作業する人たちから、もっと滑りにくいワーキングシューズが欲しい、という意見が多くあったためです。そこでソールの意匠と素材の両面から解決策を模索し始めました。しかし、実験を重ねるうちに、グリップ性には素材の影響がより大きいということがわかってきました。それならばということで、素材開発に注力するようになったのです。

一口に素材開発というが、ないものをつくるのだから、並大抵のことではない。
一番苦労したところは何だろう?

坂本 難しかったのは、グリップ性と耐摩耗性の両立でした。二つは相反するものなんです。ソールのゴムをやわらかくすれば接地面の摩擦力が大きくなり、グリップは強くなる。しかし、その反面、すぐに摩耗してしまいます。だから両立は難しいとされていました。今回は、あえてそれに挑戦したんです。

グリップ性と耐摩耗性。二つの相反する性質を両立させる。 高いハードルに挑む試行錯誤が続いた。

ここは成型第1実験室。シューズのソールや各パーツに使われるゴムやスポンジ、樹脂などの研究開発を進めているところだ。「オープンロール」という装置の回転する2本のロールの間に、ゴムやスポンジなどの原材料と配合薬品を練り込むものだ。そうすることで本来の原材料以上の弾力性や強さ、やわらかさといった性質を発揮させることができる。

坂本 ゴムと薬品を練り合わせて加熱すると、分子と分子が結びついて物理的性質や化学的性質が変化します。これを架橋反応といいます。この配合をいろいろ試して、新しい性質のものをつくりだしていきます。CPグリップソールの素材も、薬品の配合を何度も何度も工夫しました。目指したのは、やわらかくて耐摩耗性があり、しかも油に強いものです。

練り合わせた生地は、プレス機で熱を加えながらソールの形に成形される。これは実際にソールとして使用して、求めた機能が発揮できるか試験するためだ。試作しては試験して、結果をもとにまた配合を調整する。地道で気の遠くなるような作業だ。では次に第1材料試験室へ行って、実際に試作品を試験するところを見てみよう。

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過酷な作業環境でも最高のパフォーマンスを
求める職人のために、厳しい試験を繰り返して、
高い目標に近づけていった。

坂本 CPグリップソールは、油で汚れた床面で使われることを想定しています。滑りにくいことはもちろんですが、油に対して劣化しにくいことも重要なポイントです。

もともとゴムは油に弱く劣化しやすい。いくらグリップ性に優れていても、長持ちしなければ現場では使えない。ここで見た試験は、一晩油の中に浸けた耐油性のないソールとCPグリップソールの素材。大きく膨潤しているのが耐油性のないソール、変化がほとんどないものがCPグリップソールだ。

坂本 耐油性のないソールの素材はブヨブヨになっています。こうなるとソールとしては役に立ちません。CPグリップソールの方は劣化が少なく、油で汚れた床面でグリップ性を発揮します。

第2材料試験室では耐滑試験が行われる。試作したソールを試験装置に取りつけて、床面に潤滑剤を塗り、人の体重程度の荷重をかけて床面を動かす。その時の摩擦力を調べるのだ。摩擦力が大きいほど滑りにくいということになる。

坂本 この試験で、CPグリップソールは耐油性のないソールと比べて約1.5~2倍のグリップ性を示しました。このような満足いくものができあがるまで、およそ1年かかっています。

しかし、これで完成ではない。実験室でできたことを、生産ラインで安定して実現できなければいけないのだ。生産体制をつくりあげるのに、また1年ほどかかったという。

坂本 これからCPグリップソールを搭載した、アシックスのワーキングシューズが続々と登場します。性能もさらに進化していくでしょう。一人でも多くの人に、CPグリップソールを体験していただきたい。そしてすべての現場が安全で、満足いく作業ができるように、私たちもプライドを持ってワーキングシューズの機能開発、構造開発に携わっていきたいと思います。

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