玉ねぎをすりおろすことで、疲労回復効果を高める

運動だけでなく食事を含めて体づくり。そんな運動のお供に取り入れてほしい一皿を、料理家が栄養バランスを考えてご提案するのが「運動ごはん」です。


第6,7回目の渡辺康啓さんに続いて腕をふるうのは、スポーツ料理研究家として活動する村野明子さん。元スペイン代表アンドレス・イニエスタ選手の加入に沸くヴィッセル神戸の育成センター「三木谷ハウス」の寮母を務めながら、アナハイムエンゼルス大谷翔平選手の食事栄養面をサポートしています。

村野明子

今から遡ること15年前。専業主婦だった村野さんは、当時旦那さんがコンサドーレ札幌で働いていたという縁から、チームの選手たちに料理を作るという仕事を始めることになりました。サッカー選手に提供する栄養バランスの整った食事というハードルがあまりに高く、自問自答の毎日を過ごすなかでたどり着いたのは、アスリートにあわせた一般的な家庭料理。使う食材や部位を変えることでアレンジできることに気づきました。それ以来、村野さんは楽しい気持ちで作った料理は美味しくできる、を持論に日々料理と向き合っています。

すりおろし玉ねぎの生姜焼きの材料

村野さんが厨房に立つ三木谷ハウスでは、ヴィッセル神戸のアカデミー選手たちが寮生活を送っています。トップチームの遠征前にはイニエスタ選手やルーカス・ポドルスキ選手たちも食事に訪れるのだとか。そんなアスリートたちへの定番メニューから、村野さんはすりおろし玉ねぎの生姜焼きを作ってくれました。通常玉ねぎはくし形切りにしますが、今回はすりおろしたものをたっぷりと使用。その理由について聞いてみました。


「激しい運動のあとには、ビタミンB1が不足しがちになるので補う必要があります。豚肉は特にビタミンB1が豊富な食材で、その効果を高めるアリシンという成分が多い玉ねぎを合わせることでさらに疲労回復効果が高まるんです。より多く摂取できるように、すりおろして加えました。そうすることで甘さも際立ちます。さらに生姜もすりおろしてプラスします。たっぷり入った玉ねぎが生姜焼きのタレを吸うのでごはんがすすむんですよ。体が重たく感じるときにこそおすすめしたい一品です」

自由自在にアレンジできる生姜焼き

<レシピ>

すりおろし玉ねぎの生姜焼き


【材料】 2人分

玉ねぎ 100g
生姜 25g
オリーブオイル 小さじ2
豚ロース肉 200g
赤玉ねぎ 30g
しば漬け 適量
ローズマリー 適量
ゆで卵 1個
[タレ]
醤油 大さじ2
酢 大さじ1
マーマレードジャム 大さじ2



【つくり方】

1. すりおろした玉ねぎと生姜にタレを加えて、よく混ぜる。
2. フライパンにオリーブオイルを入れ、強火で豚ロース肉を炒める。
3. 半分くらい火が通ったところでタレを加えて、混ぜ合わせる。
4. 皿にタレが絡んだ豚ロース肉を盛り付ける。
5. 赤玉ねぎを残ったタレとともにフライパンでさっと炒める。
6. 赤玉ねぎが絡んだタレを豚ロース肉の上にかける。
7. しば漬け、ローズマリー、ゆで卵を添える。


「豚肉は薄いものだとパサパサしやすいので、厚みのあるものを選んでくださいね。実はこの生姜焼き、いろいろなアレンジをすることができます。カルシウムやビタミンCを摂取するならプロセスチーズを。角切りにしたトマトをのせると酸味が合わさって、さっぱりと食べられます。ピーマンやほうれん草などを炒めて添えてもOKなので、冷蔵庫に残っている半端な野菜で試してみてください。フードロスにならないし、栄養になるので一石二鳥なんです」


半分くらい火が通ったところでタレを加える
皿にタレが絡んだ豚ロース肉を盛り付ける


「タレのアレンジとして、ひじきを入れると鉄分を補えます。ひじきは食物繊維も豊富ですし、味の邪魔をしないですね。旨味がぐっと増す、あさりもおすすめですよ。タンパク質や鉄分も多いので、栄養面で考えてもプラスワンになります。ポイントは“一食で、栄養フルコース”のワンプレートを提供するということ。ワンプレートのなかで、どれだけ栄養を取ってもらえるか、そして旬の食材を無駄なく使えるのかを考えながら調理してみてください」

すりおろし玉ねぎの生姜焼き


村野明子



スポーツ料理研究家。2003年からコンサドーレ札幌の寮母を務め、2009年よりヴィッセル神戸の育成センターにて勤務し選手の栄養面をサポート。アナハイムエンゼルスの大谷翔平選手の食事自身の人生の豊かさに繋がっている。著作に『Jリーグの技あり寮ごはん』(メディアファクトリー)、監修に『強い体をつくる部活ごはん』(文化出版局)。5年以上継続しているホットヨガで汗をかくことで、レシピが浮かびやすい晴れやかな心をキープしている。食堂のカウンター越しに見守る選手たちがエネルギーの源。



Text:Kaori Takayama 

Photo:Takuya Nagamine 

 Edit:Shota Kato