女王蜂 アヴちゃん カラダ

最高のライブは、
クリーンな心と
カラダから生まれる

たとえあなたがそのバンドの曲を聴いたことがなかったとしても、たとえそのバンドの存在すら知らなかったとしても、一度彼女たちのライブに足を運んでみるべきだ。そこで眼にした光景は、一生涯あなたの脳裏に焼き付いて離れないはずだから。そこでは何千何万もの魂が揺さぶられ、そしてひとつになっているのがわかる。それは何か儀式のようにも思わせ、狂気さえも感じさせるほど。バンドの名は、女王蜂。なかでもヴォーカル、アヴちゃんの存在感はひとしおだ。熱狂的なファンを生み出す、その圧倒的なライブパフォーマンスはいかにして生まれるのか。その礎となる心やカラダの作り方について、アヴちゃん本人に質問をぶつけてみた。

カラダがいきいきしているなと思う瞬間を教えてください。

やっぱりライブかな。ステージ上でカラダを動かすのって、怒りすぎて思わず手が出ちゃう感覚に近いんです。次の曲を頭で考えるなんて絶対ダメ。それってカラダが準備しちゃっているってことだから。考えなくても勝手にカラダが震えて、手足が動いて、声が出る。そういう感覚で、気持ちを限界まで乗せることができたらいいライブだったねってなります。バンドのメンバーとも話すのですが、そのゾーンに入るともう一人メンバーが増えた感覚になるんです。「今日6人目がいたよね。彼女が女王蜂だね」って。そこまでやりきったライブだと、不思議なことに終わった後もまったくカラダは疲れていない。仲良い友達とめちゃくちゃ喋って盛り上がった日の帰り道のような感覚というか……あー今日も楽しかったなっていう爽快感に近いですね。

普段の暮らしの中においてカラダがいきいきしている瞬間はありますか?

考えごとしている時もカラダがいきいきしているかも。昔は考えごとって妄想や空想で終わっていたけれど、今はそれが現実になる仕事を選んだから。もう浮世離れしたことは考えないし言わないようにしてるのかも。実現できることしか考えないし、私のアイディアに対して周囲の人たちが協力してくれるから、言い出しっぺだし頑張ろうっていう素敵な気持ちになれる。そんなときはワクワクしますし、カラダもいきいきしてるなって思います。

逆にカラダがいきいきしていないと感じる時はありますか?

しっくりこなかったライブの後はドッと疲れるかも。何かよくないものがカラダに全部流れ込んじゃう感じ。そんな時って心とカラダが繋がってない感覚になっちゃう。だからお家に帰っても全然寝付けなかったりするから、ストレッチして、お清めしたいから塩と清酒とアロマをお風呂に持ち込んで、体を煮出して悪いものを全部出しちゃう(笑)。あれはあれで終わりだ!って切り替えますね。

ライブやツアーに向けて普段からカラダ作りはしていますか?

運動するの苦手だけど、食べるの我慢できなくて(笑)。好きなの食べまくって、めっちゃ歩いて、めっちゃ歌って、めっちゃ踊ってます。一回ライブしたら2キロくらい痩せちゃいますね。ミュージックビデオの撮影前はすこし絞ったりもするけど、ガリガリに痩せたり不健康そうにみえるのは絶対にイヤ。普段からこの体型で生活してますっていう健康的な見え方が理想かもしれません。結成当時は若かったらから闇雲に好き勝手やってきたけど、もう10年続けているから、心にも筋肉が付いてきてる気がする。やっぱり健康な体を持っていないと、健康な心はキープできないよねって。私たちって最初からお酒やタバコが苦手で、そういったものにのまれないってスタンスで、ウルトラクリーンでやってきた。心とカラダの潔癖さは結成当初から今までずっと貫いてますね。

心とカラダがクリーンな方が良い表現ができるんですか?

別に処女性にこだわってるとか、そういうわけじゃないんです。でも、良い子でないとダメってのはあると思う。心の中であっかんべーしている人が、ライブで「ざまあみろ」なんて言ってもダサいじゃないですか。すごくちゃんとした人が「ざまあみろ」と言うことに意味があるんです。だから私たちはクリーンでいたいし、良い子でいたい。吐いた唾は絶対自分に帰ってくると思ってるから。

「HALF」の歌詞でも“踊るの大好き/健康第一”というフレーズが登場していますが、普段から健康を意識しているのでしょうか?

そう、健康第一。だって健康な人が一番怖いと思うんです。漫画の『AKIRA』みたいな健康な不良って怖いですよね。だから私たちも健康はかなり意識してます。健康の時の方が完璧なコントロールができるからハンドルを思いっきり切れるんですよ。不健康だとそれができない。健康で完璧なコントロールをした上で迸るものがエモーショナルとなると思ってます。酒を浴びるほど飲んでたらライブなんてできないし。偶然できちゃったことって何度もできないんです。私たちは女王蜂としてさらに大きくなりたいと思っているから、いつでも最高のライブができる基盤を作っておかなければならない。だからこそ健康第一でいなくちゃいけない。今回ASICSさんから依頼が来て「よしっ!」って思ったし(笑)。

理想のカラダはどのようなカラダですか?

私はすでに誰かにとっての理想のカラダにエントリーされてしまっているから、それに泥を塗るような発言はしたくないですし、私は自分のカラダを気に入っています。それを踏まえた上でいうと、私って身長180センチ近くあるんですけど、心のなかでの私の身長は150センチぐらいなんです。もちろんヒールを履いて2mちかいときもゴジラやエヴァンゲリオンぐらいの大きさのときもあるけど、これは別に男になりたいとか、女になりたいとかジェンダーの話ではなくて、私にとってのベストな心とカラダのサイズなんです。伸縮自在な心とカラダがダイレクトに繋がっているからこそ、怒ったときにちゃんと怒れるし、アツくなったときにちゃんとアツくなれる。そんな迸っているカラダが私の理想です。そういうカラダって筋肉がどうとか脂肪がどうとかではなくて、闘いやすいカラダなんです。

AVU-CHAN(ZIYOOU-VACHI) ×
カラダ × ASICS

とにかくパワフルだ。ステージ上でパフォーマンスに興じているときも、私服姿で取材を受けているときも。彼女の言葉の節々に、アーティストとしての矜持と強靭な意志を感じとることができる。「女王蜂にとって“強い”と“怖い”は同義語で、最高の褒め言葉なの」。 ユニークな表現も、彼女の発言ならと妙に納得してしまう。したたかな生き様で、自身の理想を次から次へと実現させるアヴちゃん。彼女こそ、The New Strong Collectionが似合ってしかるべきだ。

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PROFILE

女王蜂 アヴちゃん

アーティスト

2009年結成のバンド「女王蜂」のヴォーカルを担当し、作詞作曲も手掛ける。2011年メジャーデビュー。 2019年にはブロードウェイミュージカル「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」にイツァーク役として好演し話題となるなど多方面でも活躍している。