Running
as a Switch

走ることがスイッチになる

inspired by NOVABLAST™ 5


「走ること」で
思考をリセットさせる


谷尻誠

MAKOTO TANIJIRI

大会を目指すことなく、暮らしの中で、走ることを続けている人たちがいる。彼らはなぜ、走るのかーー。その道の先にどんな景色を思い描いているのか。自分らしいペースで、速度で、スタイルで走っているランナーたちを訪ね、“走ることで押されるスイッチ”について、一緒に考えてみた。

良きデザイナーは
良き生活者であるべき

次々と革新的なプロジェクトを手掛け、注目を集め続ける建築家の谷尻誠さん。目下、注力しているのは、北海道の美瑛町での〝ヴィレッジ〟作り。共同で広大な土地を購入し、住まいとなる小屋を作り、畑を耕し、最終的にはこの地に未来のケアホームをつくろうという計画だ。野菜や小麦を育てる土壌作りが終わり、次の春にはいよいよ作物を育てる段階に。コミュニティに暮らす仲間たちが経済的に自立できるように宿泊施設も作るそうだ。また、出身地の広島でも尾道で無農薬のレモン栽培を始めた。「あちこちで農業をしています」と笑う。そのライフスタイルは、暮らしと仕事が地続きのような印象を受ける。

“枠にとらわれない建築家”と呼ばれるには理由がある。オフィスの社食をパブリックに開放した食堂経営、建築家やインテリアデザイナー向けの建材や家具の検索サービス、貸別荘やアウトドア施設を共同所有できるサービスなど、活動は多岐に渡る。

「確かに、仕事とプライベートのオンとオフはあまり切り替えてないですね。スタッフにもよく話すんですけど、良きデザイナーは良き生活者である、と。どんなものを食べ、どういった暮らしを営むのか。そうした生活への意識は設計に反映されるもので、丁寧に暮らしを送るというのが、僕ら建築家にとってはすごく重要なことだと思っています。

昔の人たちは住まいにしても、体に摂り入れるものも、身近な場所から材料を調達して自ら作っていましたよね。今の時代は、どこで誰が作ったかわからないものが増えている。もう少し昔の生活に戻し、自分たちで作れるものは作る。そうしていけば、おのずと健康に近づけるんじゃないかと」

「軽さもあって、跳ねるようなクッションが印象的」と、前作よりも反発性がアップデートしたNOVABLAST 5のミッドソールの機能性を言い当ててくれた谷尻さん。この優れた反発力がデイリーランナーの背中を押してくれる。

NOVABLAST 5

ラン専用のシューズが
走るスイッチを押す

谷尻さんとランの関係は、10年ほど前にさかのぼる。週1回仲間と集まって5キロほど走っていたことがあった。

「楽しく走っていたんですが、今思えば、あの頃は走った後に飲むために集まること自体が目的になっていました。だから、タウンユースもできるシューズで走っていたし、それでも全然気になりませんでした。でも、今日<NOBABLAST 5>を履いて、やっぱり違うなって感じました。まさに走るスイッチが入りましたね。すごく快適で、思っていたように、走ることに集中できました」

コンスタントに運動をしているからこそ、実感できたシューズのよさも語ってくれた。

「シューズが路面をしっかりプッシュしてくれて、走りながら弾む感じがありました。クッション性がすごくいいんでしょうね。体が温まってからも足先がムレにくいと感じました。僕がシューズに求める軽さと履き心地、そのどちらも兼ね備えていてすごく満足です」

走ることにフォーカスして
思考をクリアに

ちょうど今、仲間から誘われ、トライアスロンを始めようとしており、本格的に走り出すきっかけになりそうだ。

「犬を飼いたいとも思っているので、朝起きるモチベーションが高まりそう。自分に甘い人間で自分との約束には自信が持てないんですけど(笑)、誰かのため、何かのためだったら頑張れるんですよ。早起きして走って、家に帰ってサウナに入り、朝食を食べて仕事に行く。そんなリズムが作れたらいいですね」

また、走ることで入るスイッチに思いを馳せてもらった。

「僕は、北海道でもトイレやお風呂よりも先にサウナを作ったくらいサウナ好きなんです。スノーボードやサーフィン、ランニングもそうですが、サウナの時はそのことだけに集中できて、頭が整理されていく感覚がいいんです。もともと多動なタイプなので、何かに没頭できる時間が好きなんです。〝走る〟というシンプルなことだけにフォーカスして、思考が一度クリアになって、次の思考が生まれていくというのかな。スイッチを入れるためのスイッチとして、走ることはすごくいい気がしますね」

一貫しているのは『ないなら自分でつくればいい』という姿勢だ。困りごとは自分自身で解決する。自分が困っているということは、きっと世の中にも同じ困りごとを抱えた人がいるはずだから。これが谷尻さんの事を起こす発想であり、原動力になっている。


谷尻誠

MAKOTO TANIJIRI

1974年 広島生まれ。2000年建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICE設立。2014年より吉田愛と共同主宰。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設まで国内外合わせ多数のプロジェクトを手がける傍ら、近年「絶景不動産」「tecture」「DAICHI」「yado」「Mietell」をはじめとする多分野で開業、事業と設計をブリッジさせて活動している。2023年、広島本社の移転を機に商業施設「猫屋町ビルヂング」の運営もスタートするなど事業の幅を広げている。