運動とともに、その土地の魅力を再発見するランニング・ウォーキングコースをご提案するこの企画。第2回目はアシックスと神戸市がタッグを組んで開発した、小野浜公園ランニングコースです。緑道あり、運河沿いにはウッドデッキありと、緑と水のバランスが程よいシティランには心地よい風が吹き、ランナーの気分を高めてくれます。

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アシックスと神戸市が考えたランニングコース

神戸市三宮地区を中心に、東部新都心として開発されたHAT神戸。緑道と運河が織りなす神戸らしいこのエリアに、アシックスは神戸市とコラボレーションし、2013年にランニングコースを作りました。

小野浜公園ランニングコースには、全長約500mのウッドチップジョギングコースを周回するものと、東西に分かれる5kmと6kmのものがあります。

今回ご紹介するのは、道路から運河沿いの遊歩道へと抜けてゆく約5kmのコース。ここを走ってくれたのは、神戸市に拠点を構えるアシックススポーツ工学研究所の研究員・平川菜央さんです。

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まずは、公園内のウッドチップジョギングコースでウオーミングアップ。

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ウッドチップはランナーの足腰への負担が少なく、かつ環境にやさしいので、隣接された芝生のストレッチ広場も使いながら、入念に身体を温めていきます。


「ウオーミングアップのポイントは、“今日の自分はどうかな?”とモニタリングすることです。同じことをやっているのに、今日は感じ方が違うという気づきが重要。これはランニングにも言えることですが、タイムや距離はモチベーションとしては大事です。でも、もっと大切にしてほしいのは、今日はうまく走れた、疲れ方が違うとか、プロセスを楽しむということですね。そうすることで、もっと走ることが楽しくなりますよ」

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ウオーミングアップが終わったら、公園を出発してHAT神戸エリアへ向かいます。海側の横断歩道を渡ってランニングスタート!

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この約5kmのコースは中盤にさしかかる2.5kmまでは市街地が続きます。全体的に起伏が少ないため、走りのリズムを維持やすいのが特徴。周回コースとして使えば、無理なく距離を伸ばしていくこともできます。

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また、コース上には公園があるので、特に夏の時期は疲れたらこまめに休憩を。「なぎさ公園」は木陰のエリアが心地よく、暑い時期はここで休憩をとるのが良いでしょう。

神戸を感じるコース後半

2.5kmを過ぎると、それまでの市街地から風景がガラッと変わる運河サイドへ。

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ボートがずらりと並び、対岸には巨大な倉庫が連なる港町ならではの風景が広がります。特に見晴らしがいいのは3km前後のウッドデッキエリア。対岸の倉庫の奥に高速道路がダイナミックに続く様子から、神戸が日本における物流の拠点の一つであることが伝わってきます。

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開放感のある景色を楽しめるだけでなく、ハーバーウォークに差し掛かるとさらに道幅が広くなり、スピードに変化をつけたトレーニングにもおすすめ。4km地点のカーブを曲がると、ゴールまでのコースが見えてきます。

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ちなみに兵庫県立美術館の裏手側には、HAT神戸のシンボルである現代美術家・ヤノベケンジさんによる「Sun Sister」が展示されています。希望の象徴としての「輝く太陽」を手に持ち大地に立つ少女像は、阪神・淡路大震災20年のモニュメントとして建てられたものです。


自分と風景に酔いしれる、気持ちよく走れるコース

「走っていくと、街の感じがわかりやすく変わっていくのが神戸らしい」と平川さんは話しますが、今回走った約5kmのコースについてどんな印象を受けたのでしょうか。

「ランニングって走っている自分に酔いしれるみたいな部分も必要なんですよ(笑)。このコースは後半に運河が見えてくると気持ちいいですし、朝も夕方も雰囲気がありますし、そういう意味でも良いですね。初心者はもちろん、

距離やスピードを追い求める上級レベルの練習もいいですが、自分の体調を確認するようなデイリーなジョギングにもうってつけです。坂もないし信号も少ないですし、風も吹いているから良い気持ちのまま終われる。気持ちよく終われるのがちょうどいいんです」

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アシックス主催のランニングイベントで、参加者に対してアドバイスを求められることが多いという平川さん。多いのはランニングフォームについての質問だといいます。

「ランニング時のフォームにはあまり神経質にならず、普段の姿勢を意識するところからはじめることをおすすめします。胸を張る、腰を反らないといった当たり前のことを如何に実践できるのか。私は以前、猫背だったのですが、普段から肩を回すように意識したことで猫背が改善されてフォームがきれいになりました」

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調子が良い時もあれば悪い時もある。そんな波が悪い方向に流れてしまうと、ランニングが億劫になってしまいがちですが、それでも継続するためにはどんなことを心がければいいのでしょうか。

「自分をコントロールするというか。今は悪い時期だなという感覚があるじゃないですか。悪いときにどうマネジメントしたら良い方向に転がっていくのか。そういった波の受け入れ方はランニング以外でも大事だと思いました。ダメなときには無理をしない、落ち込まない。ひとつひとつを受け入れて、その時に何をすべきなのかを考える。調子が悪いなりに全力を尽くせばいいんです」


平川菜央(ヒラカワナオ)

アシックススポーツ工学研究所運動能力開発チームに所属しており、練習メニューの提案やランニングフォーム評価など、ランナーの能力向上に関わるテーマの研究に主に携わっている。近年はEXPOなどイベントにおけるランニングセミナー講師も担当。自らも市民ランナーとして走る経験を生かしながら、怪我のリスクが少なく、効率よく走ることができる方法を日々模索している。


TEXT : Shota Kato PHOTO : Yosuke Torii