来年、オリンピック・パラリンピックがやって来る首都『東京』。外国人旅行者の姿ももちろん、国内旅行の方達も多く、毎年5億人以上の日本人旅行者が東京を訪れています。

東京は、少し離れただけでも景色が全く変わるほど、大きな街が隣り合っていて、走っていても飽きない街。ゆっくりと走りながら移り変わる街並みを楽しめば、きっと東京観光の楽しみも倍増するはずです。

今回、人気の長寿番組『日立 世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界を旅してきた大杉亜依里さんをナビゲーターに、東京を走ってめぐります。大杉さんは、フルマラソン3時間43分14秒のベストタイムを持つランナー。彼女の目には、東京はどんな風に映るのでしょうか。

創建当時の姿になった東京駅は東京マラソンのゴール地点

大杉亜依里さん

大杉さんがスタートの場所に選んだのは、東京の顔でもあるレンガ造りの『東京駅』。東京駅丸の内駅舎は、2012年に創建当時の姿に生まれ変わったばかり。

「東京に来たなら、是非この駅舎を見てほしいですね。いかにも“首都の駅”という感じで、重厚感があり、趣もあります。それに、ランナーの聖地でもある皇居の方を向いているのがいいですね。(中央口の)目の前には、皇居まで続く大手町広場があり、道路も一本道なので遮るものがなく、東京駅からは皇居が見え、皇居を走っていると東京駅が見える。わたしは、よく皇居でナイトランをするのですが、ライトアップされた東京駅が見えると気分が高まります」

東京駅は、昨年から東京マラソンのゴール地点となり、ランナーにとっては、付加価値が1つ加わりました。2015年の東京マラソンで自己ベストを出した大杉さんは、「ここが『東京マラソン』のゴールだと思うと、さらにテンションが上がる」そう。

「丸の内を走るなら、まだビジネスマンが出勤していない朝早くか、夜がオススメです。東京のミッドタウンを1人占めしているような気分になります」

小さい頃から足が速かった大杉さんが、ランニングを始めたのは2013年。初フルだった同年のホノルルマラソンで、いきなりサブ4を達成するも、仕事の関係で思うように走れなくなってしまったことがあるそう。走るモチベーションも少し下がってしまっていたものの、去年からまたリスタート。日々のトレーニングをInstagramに投稿しています。

「やはりランニングは、わたしに合っているな、と。いまは、しゃにむにサブ3.5を目指すという感じではなく、好きなランニングを自然体で楽しんでいます。お仕事が終わってから走ることが多いのですが、夜に東京を走ると、景色が全然違って見える。東京に住んでいるのに、観光客になった気分になります」

浅草寺は江戸情緒あふれる東側エリアの代表格

大杉亜依里さん

大杉さんが東京の中で特に気に入っているのは、東側のエリア。台東区、墨田区のあたりだそう。

「浅草とか上野とか、賑わう場所なのに、街自体が変に気取っていないのがいいですね。一方で、創業100年以上の老舗も多く、東京の歴史を感じさせてくれます。昔ながらの “粋”や“いなせ”といった気質が残っているところもあるような気もします」

大杉さんは江戸時代が好きで、両国にある『江戸東京博物館』にもよく足を運びます。

外国人観光客がひっきりなしに訪れる浅草寺も、大杉さんの好きなスポット。有名な雷門をくぐると、土産物屋や食べ物屋など、90店舗近くのが軒を連ねる『仲見世通り』が250メートルほど続いています。

大杉さんのオススメは、きびだんごで有名な『あづま』。江戸時代、門前にあったきびだんごの味を再現していて、いつでもできたてが食べられます。

大杉亜依里さん

「走って、ちょっと小腹を満たしたいときもいいですよ。小さなきびだんごが4つ、串にささっているので(1人前は5串)、食べやすく、ランナーにはうれしいかも」

「夜、皇居ランをした時に浅草寺まで足を伸ばします。人でごった返す昼間とは違う、ひっそりと静まり返った感じがいいんです。仲見世通りのお店がオープンする、少し前の時間帯も好きです。人がまだまばらで、どこか得した気分になります。東京スカイツリーの撮影ポイントとして絶好の吾妻橋は浅草寺に近く、吾妻橋から隅田川沿いは、ランニングコースになっているので、浅草寺に立ち寄ったついでにここを走る、というのもいいかもしれません」

新観光名所・汐留にあるランナーにやさしい店

大杉亜依里さん

『六本木ヒルズ』と並んで、東京の新しい観光名所の1つになっている汐留。『汐留シオサイト』の愛称で呼ばれるこの地区には、汐留シティセンターや汐留メディアタワーなど、高層ビルが立ち並んでいます。観光客に人気のホテルもいくつかありますが、その中の1つ『ザ ロイヤルパークホテル 東京汐留』にあるランナーにやさしいお店をご紹介。

1階に入っている『チャヤマクロビ ザ ロイヤルパークホテル 東京汐留店』では、 “食べてキレイになる、オーガニックな生き方。”をコンセプトに、国産有機玄米やこだわりの農産物を使用し、旬の食材や産地、さらには生産者にもこだわった食材が提供されます。しかも、お食事をされる方ならランニング時にお荷物を預かってくれるというサービス付き。汐留を起点としたアーバンなRuntripを楽しみたい方にはおすすめです。店内も広々としていて天井が高いので、ゆっくりとくつろげます。

走って渡れるレインボーブリッジ

大杉亜依里さん

大杉さんが最後にナビをしてくれたのは、芝浦とお台場を結ぶ『レインボーブリッジ』。日没後のライトアップされた姿が印象的で、東京の夜景を象徴するスポットです。実はこのレインボーブリッジには約1.7キロの遊歩道があり、走って渡るランナーもたくさんいます。

遊歩道には、お台場を望める『サウスルート』と、東京タワー、東京スカイツリーを望める『ノースルート』があり、気分によってそれぞれの景色を楽しめます。季節によって渡れる時間帯は異なりますが、橋の北側からは都心のビル群や、東京タワー、スカイツリーが見え、東京の景色を独り占めした気分を味わえます。また、南側からはお台場海浜公園などが見え、特に夜景は煌びやかな世界が広がります。

今回『ノースルート』をランで渡った大杉さんは「東京タワーと東京スカイツリーが、海の向こうに横並びで見えるのが最高。2つを見比べることができる場所は、なかなかないのでは」と、感想を教えてくれました。

「橋の根元にある『お台場海浜公園』からは『レインボーブリッジ』の全景が見渡せ、ショッピングやお食事、観光も楽しめます。このあたりには、5kmと7kmの2つのランニングコースもあり、1km毎の距離表示もしてあるためランナーにもおすすめのエリアです。」

大杉さんは最後にこんなコメントを残してくれました。

「東京の名所をランで巡るのは、とっても気持ちいい。東京は、観光名所と呼ばれるところを短い時間でいくつも回れます。どこも電車でのアクセスはいいですが、走って回ると、実はより効率的だし、名所と名所の間にある東京の隠れた姿も見つけることができます。もちろん、どこか好きな名所に絞って、その周辺を走るのもいいですね。東京観光に上手くランニングを取り入れたら、きっとより楽しい旅になること間違いなしです」

みなさんも是非、東京でのラントリップを体験してみては。

コース:お台場〜レインボーブリッジまでぐるりと1周

TEXT:Shinichi Uehara
PHOTO:Eliana