履きなれたランニングシューズ、思い出の詰まったお気に入り。いつも手に取るのはそのシューズ。

「ちょっとソールがすり減ってきた気がするけど、まだ走れるから大丈夫かな」
「毎日履いているけど、この間買ったばっかりだし」
「全然破れないしまだ履ける!」
「慣れているから他のものは履きたくないなぁ」

なんて思っていると、“いつまで履いて良いのか”というシューズの寿命がわからなくなってきますよね。「愛用のシューズに別れを告げるのは名残惜しい」というその気持ち、とてもわかります。

ですが、シューズの寿命は意外と短く、すっかり寿命の過ぎたシューズを履き続けている人も多いと言われています。寿命を迎えたシューズは、本来の性能がすでに失われていることが多く、場合によっては怪我や故障の原因になることも。

買い替えの判断がつきにくいランニングシューズ。寿命はどこをチェックすればわかるのでしょうか?ランニングコーチとして、たくさんのランナーのシューズを目にしてきた池田美穂コーチにチェックポイントを聞きました。

<目次>

ランニングシューズの寿命(買い替えタイミング)を見極めるポイント

ランニングシューズの寿命は、「購入時期と経過年数」「使用状況」「外的損傷」「素材の劣化」など、さまざまな条件によって決まります。それぞれの条件を自分のシューズと照らし合わせて、買い替え時期かどうかを見極めてみましょう。

1.購入してからの年月

購入から何年も経っていたら、ぜひ買い替えを。履いた回数・距離に関わらず、未使用でも3~4年経てばシューズの素材は劣化するものです。ソールが剥がれることもあります。もったいないからと、靴箱で寝かせすぎないように注意しましょう。

2.走行距離

購入してからの期間が短くても、走った距離や路面・気象環境のほか、その人のランニングフォームによってもシューズの劣化度合いは異なります。距離については、耐久性をはかる製品テストを行っていますが、おおよそ500kmくらいを買い替えタイミングと考えるのが良いでしょう。ただし、路面状況によっても異なるので、あくまでひとつの目安です。

3.アウターソールとミッドソールの劣化

シューズを裏返し、ソールの意匠がすり減っていたり、ミッドソールが露出していたりしたら、ぜひ買い替えを。なお、ソールが片側だけすり減っている場合は、着地に問題があるチェックにもつながります。たとえばかかとの外側がすり減っている人は、着地の時に「がに股」ぎみになっているかもしれません。着地に偏ったクセがある人は、ソールが部分的にすり減りやすく、他の部分がまだ綺麗でもできるだけ早く買い替えた方がいいですね。ソールがアンバランスなすり減り方のまま走り続けていると、安定感がなくクセも良くなりません。シューズの買い替えとともに、正しいフォームも身に付けましょう。

ミッドソールは、さわって硬い、シワが寄っていると本来の機能が失われている場合があります。履き心地の変化にも敏感に、日頃から気に掛けるようにしておきましょう。

4.アッパーや履き口の擦れ、破れ

表面の生地(アッパー)、履き口などは、最もわかりやすいポイントです。ほつれや破れがあれば、もう十分履いた証拠。大会の途中で壊れてしまったら大変です。

ランニングシューズの寿命を延ばすためには?

せっかくのお気に入りのシューズ。できるだけ長く履きたいですよね。そのためには、シューズの扱い方がポイントになってきます。さまざまな機能を搭載したランニングシューズ。その機能を失わないためにも、どんなことに気を付ければ良いのか以下の項目をチェックしてみましょう。

1. 正しい履き方と愛情をもった扱いを

ヒモを結んだまま脱ぎ履きしたり、かかとを踏んだりするのはもってのほか。かかとを守るヒールカウンターを潰してしまいます。ヒモは毎回ほどいて結び直して履きましょう。大切なランニングシューズ、雑に扱わず愛情をもって気を遣うことで劣化にも気づきやすくなります。

2. 日頃からメンテナンスをする

汚れはこまめに洗ったほうが良いでしょう。洗う時は、ぬるま湯と中性洗剤で洗います。シューズ専用洗剤もあります。靴ヒモをはずし、中敷も取り外して、強くこすらず優しく汚れを落とします。乾燥させるときは、直射日光を避けて陰干ししましょう。

3. 保管場所・方法にも注意しよう

どこかへ走りに出た後、帰ってきてからシューズの袋にいれっぱなし…なんていう人はいませんか?これは、ソールが傷んだり生地が縮んだりする原因となるためNG。シューズの保管は、湿気の多い場所や直射日光は避けたほうが良いですが、シューズラックなどがない場合は、靴箱への保管がおすすめ。ただし、重ねて詰め込んだりすると型崩れするため、注意しましょう。

4. 走行距離の管理にはアプリがおすすめ

購入時期や走行距離は曖昧になりがちです。そんな時に便利なのがランニングアプリ。走った時のシューズを記録できる機能のあるアプリが多く、複数足持っている人にも便利。ランニングのたびに記録しておけば、買い替えの目安になります。

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複数シューズの履き回しでトラブルを未然に防ごう

ランニングが習慣化していて、それなりの距離を走る人であれば、複数足ランニングシューズを持つのもおすすめです。なかなかたくさん買えないものですが、毎日のように一足を履き続けると傷みも早くなります。走り慣れてくれば、長い距離を走る場合、スピード練習をする場合など練習内容によってシューズを履き分けることもできるため、特徴を知って履き回しできると良いですね。

ランニングシューズは消耗品です。けがを防ぐためにも、シューズの寿命を見極めた適切な買い替えや、シューズの劣化を早めない扱いを心がけましょう。

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TEXT:Emma Nakajima
PHOTO:Takuya Ikawa