シンガーの南端まいなさんは大のラグビー好き。幼い頃から秩父宮ラグビー場のスタンド席で大学選手権やトップリーグを観戦し、その魅力にのめり込んでいったという。

 

「ラグビーの魅力について聞かせてください」。そうお願いすると、終始ニコニコ。いや、ニコニコを通り越し、ニヤニヤしている。ラグビーについて話すことが、楽しくて仕方ないようだ。

 

溢れんばかりのラグビー愛を、存分に語ってもらった。

生まれた時からラグビーがすぐそばにありました

―― 子どもの頃からラグビーにハマっていたということですが、ご両親の影響ですか?

 

南端まいな(以下、南端):はい、両親ともにラグビー好きで、私も母のお腹の中にいる時からスタンドで応援してました(笑)。弟たちも3歳からラグビースクールに通っていて、いつも身近なところにあるスポーツでしたね。家族全員が、応援用の旗やマイジャージを持っています。みんなで秩父宮ラグビー場や国立競技場に行くのが本当に楽しくて、観戦するたびにどんどんのめり込んでいきました。

 

―― 物心ついてから、初めてラグビーを生で観戦した時の印象はどうでしたか?

 

南端:もう、ぞくぞくしました。タックルでぶつかった時の音の迫力が、怖いんですけどかっこよくて。自分がその時やっていたバスケットボールやテニスとはあまりにも違いすぎて……、とにかく興奮しましたし、選手の方たちの勇気に感動しました。怪我が多いスポーツですし、試合中に脳震盪で倒れて担架で運ばれていくこともあります。それでも、大きな選手に全力でぶつかっていくって本当に勇気がいること。ぶつかっているのは身体なんですけど、心と心の勝負だと思います。その心の強さがかっこいいと思いますし、尊敬しています。

 

―― となると、好きなプレーはやはりタックルですか?

 

南端:はい! スタンドに響くタックルの音には、未だに鳥肌が立ちます。あとは、トライ(※編集部注:ラグビーにおける得点方法のひとつ。相手陣の得点エリアまでボールを運び、地面に着接地させること)が決まったとき、そこに至るまでの経緯を振り返るのも好きです。

 

―― それは、通ならではの視点ですね。

 

南端:ラグビーって偶然と必然が絶妙に合わさったスポーツだと思うんです。そもそもラグビーボールの形自体がそれを表していて、どこに飛んでいくか予測がつきません。偶然飛んできた方向によって有利にも不利にもなるけど、選手のみなさんはものすごく考えて動いて、細かく指示を出して、やっとの思いでトライに至る。そこには高度な戦略や頭脳戦があって……。そういう偶然であり、そして必然でもある『トライまでの過程』に注目するのが、すごく楽しいんですよ!

雪の早明戦に心がふるえ、ラスト数秒の攻防に号泣!

―― 特に好きなチームはありますか?

 

南端:早稲田大学さんのラグビー部(早稲田大学ラグビー蹴球部)です。父の出身校ということもあって家族で応援していましたし、私が生まれる前の試合のDVDも実家にあってよく見ていました。

 

―― 早稲田大ラグビー部は、どんなところが魅力ですか?

 

南端:やはり伝統ある大学なのでファンが多くて盛り上がりますし、限られた資源の中で勝ちにこだわり、さまざまな工夫をしているところが魅力です。これは父に聞いたんですけど、早稲田大学は他校に比べてスポーツ推薦の枠が少ないそうなんです。それでも早稲田の赤黒ジャージを着て戦いたいという、強い気持ちを持った選手が集まってくる。だからグラウンドに出てくる選手たちの顔もひと味違って、やるぞ! という気合がみなぎっています。熱がこもっているチームなので、大好きです!

 

―― 関係者が聞いたら涙するんじゃないかってくらい、愛がすごいですね。

 

南端:早稲田大学が大学選手権で優勝した時だけ歌える「荒ぶる」という部歌(第二部歌)があるんですけど、その特別感にもぐっときますね。勝って「荒ぶる」を歌いたいのは選手もそうですし、応援している側も同じ気持ち。「今年こそは荒ぶるを……」という気持ちで、毎年大学選手権を見に行きます。

 

―― 数多くの試合を見てこられたと思いますが、中でも印象深かった試合を教えてください。

 

南端:私が生まれる前なんですけど、DVDで見た『雪の早明戦』ですね(※編集部注:1987年12月6日ラグビー関東大学対抗戦、早稲田大学VS明治大学の一戦)。前日からの雪が残るグラウンドで、選手がぶつかるたびに湯気が立つんですよ。寒い中、選手の熱気がぶわ~って伝わってきて……。「これぞ男のスポーツだな!」と、心が奮い立ちました。でも、基本的にどの試合も面白いし感動します。しょっちゅう号泣しますし。

 

―― ちなみに、試合の中で一番の号泣ポイントは?

 

南端:やっぱり勝敗が決まる瞬間ですね。これも早明戦なんですけど、最初は早稲田大学が負けていて、ラスト数秒でトライを決めて勝った試合があったんです。家族みんなでスタンド観戦していて、全員立ち上がって号泣です。

 

そういうドラマチックな逆転劇じゃなくても、やっぱりラストのハラハラドキドキする感覚はたまりませんね。ついこの前も、秩父宮みなとラグビーまつりのサントリーさん(サントリーサンゴリアス)の試合を見に行ったんですけど、ラスト10分の時点でサントリーさんがリードしていて、耐えて耐えて耐えて、最後はボールを奪った畠山健介選手が外へ蹴り出して勝ったんです。もうその瞬間に鳥肌が立って、涙が止まらなかった。一緒に観戦していた父も「やっぱりハタケは何か持ってる」って。私もそのとおりだと思いました。

縁の下の力持ちタイプが好き

―― では、特に好きな選手はいますか?

 

南端:2018年に引退されたんですが、青木佑輔選手。早稲田大学やサントリーさんで活躍された選手です。子どもの頃からファンで、私が持っているジャージは全部真ん中に青木選手のサインが入っています。バレンタインデーには試合後にチョコを渡して、ハートの色紙にサインを書いていただいていました。

 

―― すごい! 熱狂的ですね。

 

南端:ラインアウト(※編集部注:ラグビーにおけるセットプレーのひとつ)すると青木選手がスローインを担当するんですけど、その時に腕をまくる仕草がすごくかっこいいんですよ。それにプレーも大好きで、青木選手がいると安心感があるんです。

 

―― 青木選手のポジションはフッカー。スクラムの要となるフォワードの選手ですね。ラグビーはスクラムを組むメンバーであるフォワード(8人)とパスやキック、ボールを持ち相手陣地に走り込むのをメインとするバックス(7人)にポジションが分かれますが、南端さんはフォワードの選手がお好きなんですか?

 

南端:フォワードの選手って縁の下の力持ちじゃないですか。スクラムを組むときに耐えている姿が感動しますし、かっこいいな、頼りになるなって思います。フォワードの選手がスクラムを組んでいる時が、試合の中で一番好きなシーンかもしれないですね。

 

―― 先ほどお話に出た畠山健介さんもフォワード(プロップ)の選手ですしね。

 

南端:畠山選手も早稲田大出身なので、ずっとプレーを見てきました。見た目からして頼りになりますし、試合を観戦していても目で追ってしまう選手の一人です。やっぱりチームの中で頼られている選手は尊敬しますね。

2019年ワールドカップは日本開催。世界トップのラグビーを目に焼き付けたい

―― 特に小学生くらいの時って、ラグビーに熱中している女の子はそう多くないと思うんですけど……。

 

南端:そうですね、友達には一人もいませんでした。

 

―― ラグビーの話ができなくて寂しい思いをしたりは?

 

南端:本当そうなんです! ラグビーの感動シーンを共有したいのに、誰も分かってくれない。家族や親戚とは話せるんですけど、同世代の友達にも興味を持ってもらいたかったのですごく寂しくて。動画をメールで送ってみたり、ちょいちょいアピールはしてたんですけどね……だめでした。

 

―― でも、2015年のワールドカップで日本代表が躍進しラグビー熱が高まった時は、友達も盛り上がったんじゃないですか?

 

南端:あの時は、明らかに周囲の空気が変わりました。南アフリカ代表に勝って一気に盛り上がって、本当にうれしかった。子どもたちがラグビーを始めたり、ラグビーを見る機会が増えたらいいなと思いました。でも反面、チケットが取れなくなったらどうしようという心配も出てきて、うれしいんですけど複雑な気持ちでしたね(笑)。実際、2019年に日本で開催されるワールドカップのチケットは、すでに取りにくくなっていると父が言っていました。

 

―― まずいですね。

 

南端:まずいですよ! でも、この前大会ボランティアに応募したんです。たとえチケットが取れなかったとしても、どんな形でもいいからワールドカップの雰囲気を味わいたい。日本でワールドカップが開催される機会なんて、もう当分やってこないと思うので。

 

―― 何とかスタンドで観戦できるようお祈りしています。ちなみに、2019年のワールドカップで期待する選手は?

 

南端:日本代表に復帰されたリーチマイケル選手です。前回の南アフリカ戦でも発揮された、あのキャプテンシーはやっぱりすごいと思うので、2019年もやってくれると信じています。あとは、畠山選手も代表に復帰してほしい。あの桜のジャージを着て、またスクラムを組んでほしいと心から願っています。

 

それから、海外のチームではイングランド代表に注目ですね。エディさん(エディー・ジョーンズ。前日本代表ヘッドコーチ)がヘッドコーチをされているので、ワールドカップまでにかなり上げてくるんじゃないかと思って。あとは、ウェールズ代表。フォワードが強くて、良いラグビーをすると聞くので生で見てみたい。そういう、世界のトップレベルのラグビーをしっかり目に焼き付けたいと思っています。

興奮気味の南端さん
取材時、リーチマイケル選手の使用モデル「LETHAL TIGREOR 10 ST」(アシックス)を手にし、興奮気味の南端さん

――日本代表選手だけでなく、海外のチームもチェックされているんですね。

 

南端:海外のチームや選手はそこまで詳しくないのですが、サントリーサンゴリアスでもプレーしていた、ジョージ・グレーガン元選手はチェックしていました。ワラビーズ(オーストラリア代表)の主将としても活躍されてて、世界最多キャップ数(国同士の対抗試合に出場した回数)を持っていた方だったので、「こんなすごい方がサントリーさんに!」というのが当時衝撃でした。

やっぱりスタンドから観戦してほしい

―― ワールドカップが近づくにつれ、これからラグビー熱が高まっていくと思います。この機会に、初めてラグビーの試合を見るという人も増えると思うのですが、ビギナーにおすすめの観戦方法、楽しみ方のポイントなどはありますか?

 

南端:やっぱり、せっかくならラグビー場に足を運んで生観戦してほしいです。それも、なるべくグラウンド全体を見渡せる上の方から見てほしい。先ほども言いましたけど、トライに至るまでにはさまざまなプレーがあって、ボールを持っていない選手の動きとか戦略とか、工夫とか、そういうのが分かるとすごく面白いと思うんです。

 

―― ラグビーはルールがやや複雑なので、詳しい人と一緒に見に行くのもいいかもしれませんね。

 

南端:そうですね。私も父からいろいろ教えてもらって、よりラグビーの奥深さが分かるようになりましたから。スタンドで観戦していると、周囲の方々がプレーに対していろいろなことをおっしゃっているので、そういう声に耳を傾けながら学ぶのもいいと思います。

 

―― せっかく日本でやるんだから、多くの人に見てほしいですよね。

 

南端:もう、ぜひ! チケットは取りづらくなっちゃうかもしれないけど(笑)。まあでもそれはさておき、日本でワールドカップをやるって本当にすごいことなんだよって、周囲にもしつこくしつこくしつこく伝えていきたいと思います。

 

南端まいな

2000年2月21日生まれ。東京都出身。2014年「アイドルネッサンス」のメンバーとしてデビュー。幼い頃から大のラグビー好きで、現在はその知識を生かし、ラグビーにまつわるメディア出演を中心に活動中。2018年8月15日(水)に配信シングル『センチメートル』をリリース。Twitter/@maina_5656

 

INFORMATION

「アシックスステーションストア品川」では2018年10月27日(土)に日産スタジアムで開催される「キヤノン ブレディスローカップ2018」の対戦にフォーカスし、2018年9月29日(土)〜10月29日(月)の期間中、オーストラリア代表(ワラビーズ)の応援グッズを展開予定。

南端まいな

8年ぶりにブレディスローカップが、日本にやってきます! ニュージーランド代表とオーストラリア代表という人気国同士の対戦です。初めての方も是非観戦してみてください! そして、ワールドカップ前に贔屓のチームや選手を作ってみてはいかがでしょうか? ぜひグッズを買って応援しましょう!(南端さん)

 

アシックスステーションストア品川
〒108-0074 東京都港区高輪3-26-26 京浜急行品川駅構内
TEL:03-6277-0940
営業時間:11:00〜20:00

https://www.asics.com/jp/ja-jp/store/AJP-A09015A/

 

TEXT:Noriyuki Enami(Yajirobe)
PHOTO:Nanako Ono
EDIT:はてな編集部