昨年は、自宅にいる時間が増えたことで、運動不足解消のためにランニングを始めた方、練習時間や走行距離が増えた市民ランナーの方など、多くの人がランニングに取り組んだ一年でした。

しかし、寒さや相次ぐ大会の中止・延期などで、モチベーション維持が難しくなってきてはいないでしょうか? 今回は、多くのランナーが一度は感じたことがある「モチベーションの保ち方」について、アシックスランニングクラブコーチに聞いてみました。

<目次>

・ ランニングを続けるための大前提は「がんばりすぎない」

・ モチベーションアップにランニング専用アプリを使ってみよう

・ 実際に「ASICS Runkeeper™(アシックスランキーパー)」を使って走ってみた

・ 「ASICS Runkeeper™(アシックスランキーパー)」でラン仲間とコースをシェアするのが楽しい

■教えてくれた人

小谷浩さん(アシックスランニングクラブコーチ)

アシックスラン東京丸の内常駐のランニングコーチ。国内外のマラソンや国際マラソンなど多くのレースに出場した経験や、東京マラソンのペースセッターなど、豊富な経験を活かし、ビギナーから上級者までさまざまなレベルのランナーをサポートしている。シューズやウエアに関する知識も豊富なので、店頭で見かけた際はぜひ相談を。
アシックスラン東京丸の内については、こちら

ランニングを続けるための大前提は「がんばりすぎない」

――ランニングのモチベーションに関する相談はありますか?

特にランニングを始めたばかりの方からモチベーション維持の相談を受けることが非常に多いですね。その際「最初からがんばりすぎないでください」とアドバイスするようにしていて、次の3点をランニングの前提として紹介しています。

1. がんばりすぎない
2. 効果をすぐに期待しない
3. 他人と比べない

ランニングを始めたばかりの頃は、みなさんがんばりすぎてケガをしたり、「走るなら○○km以上じゃないといけない」という無理な目標を作ってしまったり、毎日走ろうとしてしまったりしがちです。このように “走るのが義務”になってしまうと、一度でも走れない日があると、そのまま止めてしまう人が多いんですよね。

――“がんばりすぎない目標”はどのように立てればいいでしょうか?

私は「先に、走る日だけ決めておきましょう」とアドバイスしています。

「時間がある時に走ろう」と考えていると、いつまでたっても時間ができないものです。そのため、最初に週2日ほど走る曜日を決めてスケジュールに組んでいくのをおすすめしています。

もし走ると決めていた日に雨が降っていたり体調が悪かったりしたら、休んでしまってOK。プロじゃない限り、ランニングというのは自分の仕事や家庭がある上で楽しく取り組むものですから。

――初心者が走るペースは週2日がおすすめなのでしょうか?

そうですね。休むことも練習のうちですし、ランニングのトレーニング効果を得るのには必要なことです。週2ペースであれば身体の回復も追いつきますので、初心者が続けるためには週2日がちょうど良いと思います。

――そこから一段上の目標に切り替えるのは、どれくらいのタイミングがおすすめですか?

週2日ペースを3ヵ月以上続けてみて、走るのがラクになってきたと感じた頃が良いと思います。タイムが早くなったのを実感するのがだいたい3ヵ月後くらい、まわりから「(見た目が)変わったね」と言われるのは1年後くらいだと思うので、効果をすぐに期待しないこともやはり大切です。

――冬の寒さでモチベーションが低下しているという方の対策はありますか?

やはり冬用のウエアを揃えることをおすすめします。Tシャツやタイツでも、夏用と冬用では素材や機能が違うんですよ。冬用のウエアは、身体を冷やさないように裏地が起毛素材になっていたり、手首を冷やさないように袖に親指が通せるサムホールがついていたりします。

――新しいウエアはモチベーションを上げてくれますよね。

実は毎シーズンともシューズ、アパレル、グッズでカラーリングが連動しているので、自分の好きな色でトータルコーディネートしていくとモチベーションアップにつながると思います。また、ランニング用品は視認性が良いカラーリングが多いので、夜走る際も安全に配慮されています。

モチベーションアップにランニング専用アプリを使ってみよう

――ウエアのほか、初心者におすすめのアイテムなどはありますか?

ランニング用のスマートフォンアプリの活用もおすすめしていますね。

たとえば、ASICSのフィットネス・トラッキング・アプリ「ASICS Runkeeper™(アシックスランキーパー)」の場合、走った距離やペース、コースの地図などが記録できるので、モチベーション維持につながると思います。せっかく走って何も残らないよりも、これまでの記録が見られるのは楽しいですよ。

――コーチも「Runkeeper」を使用されているのですか?

はい。走る時は常に使っていますね。同じコースを走り終わったあとに、今まで走ったなかで何番目のタイムだったかが表示されるので、調子を把握するのに役立つんです。それ以外にも月間走行距離や平均ペースについてよく確認するようにしています。ランニングにおいて月間走行距離を伸ばすことにこだわる必要はないのですが、最近の走行距離と自己ベストを達成した時期の走行距離を比較すると参考になるんですよ。ケガをしてしまったときに「Runkeeper」を確認して、いつもよりも走りすぎていたとわかったこともあります。また、累計走行距離によって表示されるマークが変わるのですが、次にどんなマークになるのかを個人的にはすごく楽しみにしています。

Runkeeperのアプリ画面
登録したばかりのひよこのマーク。
Runkeeperのアプリ画面
走ったことを記録するたびに、累積走行距離が増え、マークが変わっていきます。

――コーチはスマートウォッチも着けていますが、それでもスマホを持ち歩いて走っているのでしょうか?

「Runkeeper」はスマートウォッチにも対応しているのですが、スマホで利用することが多いですね。新しいコースを探す時に道に迷ったり疲れたりしてしまっても、電話して家族に迎えにきてもらったり、電車で帰ったりできますから。特にランニング初心者の方には「スマホを持って走るのがおすすめです」と伝えています。

――ランニング中、スマホはどのように身につけていますか?

僕は大体ポーチに入れています。腰にファスナー付きのポケットがあるパンツの場合はそこに入れることもあります。以前は腕につけるケースが主流でしたが、最近はスマートフォンが大型化したり、イヤホンも無線化したりして見かけなくなりましたね。

実際に「ASICS Runkeeper™(アシックスランキーパー)」を使って走ってみた

小谷コーチのアドバイスをふまえ、実際に「Runkeeper」を使って走ってみました。

といっても、特別な準備は必要ありません。ランニングウエアに着替え、シューズを履いたら、あとは走り始める前に「Runkeeper」を起動して「スタート」ボタンをタップするだけ。

GPSと連動しているので、走るだけで距離やペース、走ったコースを自動的に記録してくれます。

そして小谷コーチの説明にもあった通り、「Runkeeper」はApple WatchやGarminなどのスマートウォッチにも対応しています。

身軽にランニングを楽しみたい場合、スマートフォンを自宅に置きっぱなしにしても、距離とペース、コース(GPSに対応したスマートウォッチの場合)を記録できます。

実際に「Runkeeper」を使ってみて新鮮だったのは、ランニングコースが記録される楽しさ。

距離やペースなどの数字の記録だけではわかりづらい、その日のランニング時の気分のようなものが伝わってくる気がします。

この時期は寒いのでジムのトレッドミルでばかり走っていたのですが、「Runkeeper」を使っていると自然と外を走りたくなってきますね。

また「Runkeeper」は歴史あるアプリだけに、ランニングに必要な機能や使い勝手に配慮が行き届いています。

たとえば、ランニング中にはスマートウォッチで距離やペースが確認できるので、スマートフォンをいちいち取り出さなくてもペースが把握できて気楽にランニングを楽しめます。また、もしスマートウォッチを持っていなくても、イヤホンさえつけていれば音声ガイドでランニングの状況を教えてくれます。

こうした細かい機能の積み重ねが「Runkeeper」でのラン記録に結びつき、それらの記録が蓄積することでさらにモチベーションにつながっていきます。

そして小谷コーチによると、「Runkeeper」内でのラン仲間ネットワークがさらに楽しいのだとか。

「ASICS Runkeeper™(アシックスランキーパー)」でラン仲間とコースをシェアするのが楽しい

Runkeeperのアプリ画面

――「Runkeeper」を使ってみて、ランニングコースを開拓する楽しさに気づきました。

ランニングに飽きないためにも、コースは複数あるほうが良いと思います。それにトレーニングの観点からも、同じコースを淡々と走っていると毎回動きが同じになってしまい、成長につながりにくいんです。いくつかコースがあれば、コースによって起伏なども違うので、トレーニングのバランスも良くなると思います。可能であれば、土や芝生を走れるコースもあるとなお良いですよ。

「Runkeeper」はアプリ内で友だちとつながることができるので、走ったコースの写真を撮ってシェアするのも楽しいですよ。私も友だちから「あのコースどこですか?」と質問されることがあって、良いランニングコースや目的地を探すのにもおすすめのアプリではないでしょうか。

――まるでインスタグラムで行ってみたいお店を探すような感じですね(笑)。

私は長年「Runkeeper」を使ってきて、ずっと個人で記録を貯めていく使い方しかしていなかったのですが、昨年バーチャルレースに参加したのをきっかけに友だち機能を使うようになりました。すると、友だちがランニングをするとその連絡が届いたりして、刺激になるんですよね。初心者の方は他人と比べないほうが良いですが、中上級者は同じレベルの人と切磋琢磨したほうが伸びるので、とても良い機能だと思いました。そしてFacebookやTwitterでの繋がりってランニング以外の関係性であることがほとんどですが、Runkeeperでのつながりはみんなランニング仲間なので、気兼ねなくランニングについてやり取りできるのが楽しいですね。

――ありがとうございます。最後に、他におすすめの「Runkeeper」の使い方や機能はありますか?

バーチャルレースは思った以上にみんなで走っている感じがして楽しかったです。また機会があればぜひみなさん参加してみて欲しいです。あとは有料プランの「Runkeeper Go™」ですね。無料版にはないトレーニングメニューを自動で組んでくれる機能が便利だと思います。一般のランナーは、毎日走る時間があるわけでもないので、いかに効率よくケガせず目標を達成できるかが重要です。「Runkeeper Go™」のトレーニング機能は、最小限の練習で、何をしたらレベルアップにつながるのかを教えてくれますよ。

 

Photo:Kenta Terunuma
TEXT:Kenta Terunuma