次なるマラソン大会に向けて、そろそろ練習計画を考えている人も多いのでは? 
大会に向けた練習方法はいろいろありますが、ランニング初心者から上級者まで取り入れて欲しいのがLSDトレーニングです。
今回はASICS RUN TOKYO MARUNOUCHIで開催されたランニングイベントに参加。LSDの効果や走り方のポイントについて、アシックスランニングクラブの小谷浩コーチに教えてもらいました。

LSDとは、長くゆっくり、距離を走ること

走っている後ろ姿

LSDとは、Long Slow Distance(ロング・スロー・ディスタンス)の略称で「長く、ゆっくり、距離を走る」トレーニングのこと。マラソンを走った経験のある方ならおなじみの練習法ですが、実はいろいろな効果が期待できます。

LSDで得られる効果1:持久力の向上

42.195kmもの距離を走り抜くために、何より大事になるのが持久力です。長く走ることによって、筋持久力がアップするだけでなく、毛細血管が発達して、全身への酸素の供給をスムーズにする効果も期待できるため、楽に長く走れるようになります。

LSDで得られる効果2:脂肪燃焼

走り始めてしばらく経つと、脂肪がエネルギー源として使われるようになるので、ダイエット目的で走り始めたという方にもおすすめ。またゆっくり走るため、着地時の衝撃が小さいので、関節への負担が少なく、怪我をしにくいのも利点です。

LSDで得られる効果3:正しいフォームが身につく

余裕のないスピードで走ると、フォームが意識できず、崩れてしまいがちです。姿勢を意識しながらゆっくりと走ることで、正しいフォームを身につけることができます。

LSDイベントに参加!距離ではなく、時間を意識して走ろう

走っている人の後ろ姿

LSDには良い効果がたくさんあることが分かりましたが、どれぐらい長く走ったらいいの? ゆっくりってどれくらい?と思っている人も多いのではないでしょうか。
そこでASICS RUN TOKYO MARUNOUCHIで行われたLSD練習会に参加してきました。

朝9時半、ショップに集まった参加者たちに、小谷コーチから今日の練習のポイントが伝えられます。この日の練習メニューは3時間走。

「距離にすると15kmくらいですが、15km走というと最後に飛ばしてしまったり、レベルによっては2時間で走り終わったりすることもあります。ご自身でLSDを行うときも、距離ではなく、時間を基準にしてください」(小谷コーチ)

ストレッチしている様子
長く走り続けるためには、リラックスすることが大切ということで、まずは念入りに股関節や肩甲骨周りをストレッチ。体がじんわりと温まったところでいよいよスタートです。

この日のペースは1km7分ほど。

「走力によって速さは変わりますが、人と話をしながら走れるぐらい、自分にとってのゆっくりペースで走りましょう」(小谷コーチ)

コースはまず、丸の内から竹芝埠頭へ。オフィス街を走っているため、途中信号で何度も立ち止まります。

「立ち止まっても大丈夫。マラソンは長い時間動き続ける競技ですから、その感覚を体に覚えさせることも大切です。信号で止まっても、コンビニで休憩しても、初心者の方は歩いたり、走ったりしてもいいので、とにかく座らず動き続けることが大切です」(小谷コーチ)

芝公園では参加者全員で記念撮影をしたり、国会議事堂や皇居を眺めたり。東京の風景とおしゃべりを楽しみながら走ります。

「スピードはゆっくりですが、ダラダラ走るのはNGです。上半身は力まず、腰が落ちていないか、無駄に蹴り上げていないかを意識しましょう。他人が見たときに『あの人はあえてゆっくり走っているんだな』と思えるフォームが理想です。さあ、リズム良く走りましょう!」など、小谷さんからアドバイスをもらいながら、3時間のLSDは終了。

心地よい疲れはあるものの「もう少し走れそう」と思えるくらいの余裕が残った今回の練習。

「練習を継続できないほど、疲労が残っている場合は、負荷が強すぎるということ。走力を向上させるには、回数が重要なので、次の週も同じ練習ができるぐらいの強度で走り続けてくださいね」(小谷さん)

足元

ちなみに今回のイベントで参加者のみなさんがこぞって試し履きしていたのが、GLIDERIDE 3。小谷コーチも「LSDにおすすめです」と太鼓判を押すシューズです。クッション性と反発性に優れた「FF BLAST PLUS」素材を採用したソールは、フカフカとしたやわらかな感触。さらに靴底前部はアーチ型になっていて、、自然に着地すると、コロンと前へと進みます。おかげで足が疲れてきた後半でも、止まることなく走り続けることができました。

長時間走り続けるためには、気持ち良く走れるランニングシューズも用意しておくといいかもしれませんね。

よりラクに、より長く。ENERGY SAVING SERIES(特設サイト)

LSDのよくある失敗と対処法をコーチに聞いてみた。

小谷 浩さん

小谷 浩
アシックスランニングクラブコーチ・アシックスラン東京丸の内勤務。国内外のマラソンや国際マラソンなど多くのレースに出場した経験や、東京マラソンのペースセッターなど、豊富な経験を活かし、ビギナーから上級者までさまざまなレベルのランナーをサポートしている。

今回はイベントに参加しましたが、なかには「一人で長距離を走るのが苦手」「ゆっくり走るのが苦手」という人も多いのではないでしょうか。そこで小谷コーチにLSDのコツを伺いました。

――今回は3時間走りましたが、どのぐらいの時間走ったらいいのでしょう?

例えば普段10分のランニングをしている人なら、30分走るだけでも3倍の時間になりますので、その人にとっては立派なLSDです。大会に出る予定がなければ、無理に距離を延ばす必要はないので、ゆっくり30分走れば十分です。中・上級者であれば、1時間以上、90分、120分が目安になります。

――頻度としてはどれぐらい取り入れたらいいですか?

基本は週1回です。例えば、マラソンでタイムを狙っている人や中・上級者の方は、週1回のLSDに加え、週1回レースペース以上の速さで40分走る練習を入れて、その他の日は疲労を残さないようにジョグで繋ぐのがおすすめです。まずはこのサイクルを2〜3週間続けてください。もし継続できなかった場合は、強度が強すぎるので、スピードや距離などを軽くしましょう。継続できたら、次の4週目の1週間は強度を落として、練習に緩急をつけると同時に、疲労を抜く週を盛り込むことが大切です。

――実は長く走るのも、ゆっくり走るのも苦手なのですが、どうやったらLSDをうまく走れますか?

距離については、今日のイベントのよう景色が変わるコースを選ぶと飽きずに走れると思います。また、ゴールにご褒美を設定しておくのもおすすめです。僕はお気に入りのパン屋さんをゴールにして、そこでパンを食べて、電車で帰ってくるのが好きですね。

速度については、体が温まってくると気持ち良くなって、速く走りたくなる気持ちはわかります。ただ、マラソン大会を思い浮かべてください。スタート直後はゆっくり走りますよね。練習でペースを我慢できない人は、レースでも速いペースで突っ込んで、失敗しがちです。LSDは「こんなに遅くて大丈夫かな?」と感じるぐらいゆっくり走る練習だと思って取り組んで欲しいですね。それでも速く走ってしまうという人は、今回のようなイベントに参加したり、仲間と一緒に走ったりするのがおすすめです。

――なるほど、確かにレースでは「こんな遅くて大丈夫かな?」というぐらいゆっくり走ります。LSDのときはどんなランニングシューズを選んだらいいですか?

足を前へと出してくれる機能を持ったGLIDERIDE 3は、初心者の方なら無駄に力を入れて蹴り出す必要がないので、脚に優しく、疲れてきても自然に前に進むのでおすすめです。また、軽くてクッション性が高いので、中・上級者の方は脚への負担軽減にもなり、ランニングの頻度を増やすことができるので、結果的に走力向上につながるでしょう。LSDは長時間走り続けなくてはいけないので、レベルを問わず、ラクに楽しく走れるシューズを選んでほしいですね。

棚に並べられたたくさんの靴

ASICS RUN TOKYO MARUNOUCHIでは、毎日のようにランニングイベントが行われています。ビギナー向けのものからインターバル走、スピードトレーニングなど中上級者向けのものまでさまざま。今回は週末のLSDイベントに参加しましたが、参加する曜日を決めておけば、ランニング仲間ができたり、コーチと一緒に目標を考えたりすることもできます。また、併設のランステーションでは、シューズやウエア、タオルのレンタルもあるので(有料)、仕事の前や後に手ぶらで走り出ることできます。もちろん最新モデルのシューズもレンタルできます。

大会シーズンが終わって、いまいちモチベーションが上がらないというランナーも多いかもしれませんが、秋からの大会シーズンに向けて、今は大切な時期。ランニングを楽しくしてくれるシューズと一緒に、LSDを日々の練習に上手に取り入れてみてはいかがでしょうか? イベントやランステーションもうまく使って気持ちよく走ることを続けてみてくださいね。

よりラクに、より長く。ENERGY SAVING SERIES(特設サイト)

Photo:Tetsuya Fujimaki
TEXT:Junko Hayashida(MO'O)