アシックスから登場したばかりの、厚底は厚底でも「弾む」ことに重きを置いた「ノヴァブラスト」。タイムを狙うというより、走ることそれ自体を心躍る体験にするシューズを、多角的にレビューする。


ランニングシューズのソールユニットは、高度文明化社会の現代においていまだ日進月歩のホットな開発分野だ。

当然、アシックスも新しいソールの開発には余念がない。自前のスポーツ工学研究所にて研究を重ねており、数シーズン前に市販化された「FLYTEFOAM」という独自のソール材がある。一般的にソフトなクッション材は耐久性に乏しく、その点をクリアしようとすると密に詰まった重いEVA材になってしまうがFLYTEFOAMでは、軽量なクッション材でもランに使える耐久性をキープし、軽量化を実現させた。

この先進的な素材をさらに「弾む」という方向にチューンしたのが、このノヴァブラストに採用された「FLYTEFOAM Blast」だ。よく反発する素材は密に詰まって重たいのが一般的だが、「軽さを保ったまま、よく弾む」ことに成功。アシックス史上最も弾むソール材になっている。さらにはソールの形状自体にも工夫が施され、底面にくぼみを設けることで着地時に変形・復元し、まるでトランポリンに乗ったかのようにポーンというリターンが得られるのだとか。

よく弾むということは、シューズの質量以上に「走りの軽さ」を感じられるということ。いつもの道を弾ませてくれるシューズとも言える。はたしてどんなシーンに向くのだろうか。

そこで今回は4名の市民ランナーに1週間の試し履きをお願いし、各自が今履いているシューズと比較しながら、「弾む」「速い」などの6項目で総計18点になるよう採点してもらった。

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牧野さん

牧野英明さん
1980年生まれ。陸上部出身で、フルは2時間49分台。BEAMSに勤務、日本ランニング協会認定ランニングインストラクター。
踏み込んだ後のリターンのキビキビ感にびっくり。キロ3分30秒ペースまで上げて走ってみましたが、そのスピードでも躍動感ある走りを後押ししてくれました。カーボンプレート入りシューズの強制的な反発とは違って、脚に優しい感触。「弾む」は断然満点ですね。

藤根さん

藤根涼子さん
1981年生まれ。ラン歴7年。いままでフルマラソンを20回以上完走し、ベストは3時間32分。トレイルランニングも嗜む。
足を入れて立っただけで、包み込まれるようなフンワカした感触。ミッドソールの傾斜のおかげか自然とフォアフット気味に着地して「勝手に足が前に進む」感じがしました。まるでシューズに引っ張ってもらっているような。これで自己ベスト更新を狙ってみたい!

 

立花さん

立花美幸さん
1994年生まれの今回最年少。ランニング歴はまだ1年と少しだが、学生時代に陸上競技で短〜中距離を走っていた経験あり。
他の厚底シューズは踏み込んだときに柔らかさを感じることが多いのですが、NOVABLASTは意外にも硬めで、弾む感覚を強く感じました。ゆっくりペースのジョグから少しスピードを上げたときに心地よく走れたので、気ままなファンランで楽しく履きたい感じです。

 

小野さん

小野好樹さん
1990年生まれ。ランニング歴6年ほどで、これまでアシックスの様々なシューズを愛用。フルマラソンはあと少しでサブ4。
今まで履いてきたアシックスのどのシューズとも異なる感覚で、たとえるならアップテンポの音楽を聴いているような気分に。独特の浮遊感と、弾むような走り味です。アッパーの水抜けも良さそうなので、気乗りのしない雨の日に気分をアゲる一足としても使えます。

 

※ランナーの感想・採点は個人の意見です

 

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Number Do 2020年3月発売号より転載

TEXT: Shisuke Isomura
PHOTO: Hirofumi Kamaya/Number