スポーツと言われて思い浮かべるものは、部活やスポ根アニメなど、「学生時代の青春」を映し出すものが多いかもしれない。しかし、仕事に、遊び、恋愛と、毎日を生き生きと過ごす人たちの日常を覗いてみると、そこには、大人の日常に寄り添うスポーツの姿があった。“スポーツは、大人になった今だからこそ楽しい!”これを検証すべく、スポーツ好きが集まると噂の、ASICS社員のスポーツライフに迫っていく。

ランニングに取り組む意外な目的

今回登場するASICS社員は、ランニング好きの齋藤太一。ランニングの目的というと一般的にはダイエットや、ストレス発散、気分転換など、心身の健康を意識したものがよく聞かれるが、齋藤はちょっと変わった視点をもっているということで彼のもとを訪ねてみた。

「変に思われるかもしれませんが、なぜランニングしているかというと、走っているときの自分が好きだからです。走っているほうがより自分らしさを出せるというか、私服からランニングウエアに着替えると変身したような気分になれるんです。なんだかナルシストみたいですよね(笑)」

ASICS社員の齋藤太一

齋藤がそう自覚するようになったのは、陸上をはじめた高校生のときのこと。大会に出場し、上位に入賞することで日常生活にはない、いつもとは違う自分の姿が見られると、次第にランニングが自己表現のひとつになっていったという。

学生時代は陸上にすべてを捧げてきた齋藤。社会人になって練習量が減ったものの、年に1,2回はフルマラソン大会に参加している。そのうちのひとつ、毎年5月に北海道で開催される、洞爺湖マラソンには10年連続で参加。5000〜6000人という大会規模ながら、齋藤は初エントリーから9年連続で1位を取り続けてきた、現役の実力派ランナーだ。

「実は10回目となる2018年、はじめてトップを逃しました。悔しかったですね。ですが、洞爺湖マラソンは自分にとって一年の振り返りの場でもあるんです。まわりの環境や生活スタイルなど、毎年さまざまな変化がありますが、走ることで一年が自分にとってどんなものだったのかわかる。過去のタイムを見ればその年の仕事や時間の使い方、ランニングへの姿勢などが思い出せるので面白いですね」

ランニング好きの齋藤太一

フルマラソン大会は国内のほか、優勝賞品の副賞で受け取ったニューカレドニアをはじめ、ニューヨーク、シンガポール、オーストラリアと世界各地を走ってきた。

「やっぱり海外で走ると空気感、街並み、どれをとっても日本とは違う景色があるのでいいですね。そのなかでも、アメリカでもっとも盛り上がる、ニューヨークシティマラソンという大会があります。日本でいうところの東京マラソンにあたりますが、応援する人たちの雰囲気が全然ちがう。沿道の人たち同士で勝手に盛り上がっているんです。日本だと、ランナーの走りを見て応援する人が楽しみますが、ニューヨークシティマラソンはランナーが沿道で応援する人たちを見て楽しむという感じです(笑)。アメリカに限らず、海外で走るとその地域ならではの文化があるので楽しいですね」

「ペースセッター」に支えられるランナーたち

齋藤のふだんの仕事はASICS STOREのランニングイベントや測定サービスをはじめ、主にランニングを切り口とした店舗プロモーションを手がけている。いま齋藤が好んで履いているランニングシューズが「ROADHAWK FF 2 WN(ロードホーク FF 2 WN)」。

「中級者向けのランニングシューズで、ミッドソールには反発性が高い素材が使われています。スピードも上げやすい上に、適度な厚みでクッションも感じる、汎用性の高いバランスのとれたモデルです。一見ランニングシューズらしくないデザインで、日常的に使える一足としてオススメです」

そんな齋藤は東京マラソンで「ペースセッター」と呼ばれる、あまり聞き慣れない役割も担っている。これは一定のペースを保ちながら、ランナーたちが目標とするタイムで完走するペースメーカーのことで、5時間半、5時間、4時間半……と、30分区切りで配置されている。

東京マラソン

齋藤はそのなかでももっとも速い、サブスリー(3時間以内)を目指すランナーのペースセッターを担当。ペースセッターはただタイムどおりに走るだけではなく、その役割は多岐にわたり、集団の盛り上げやアドバイス、誘導などランナーの目標達成を後押しできることはすべてやるという。

「走りながら絶えず口も腕も動かしているので、喉もカラカラになりますし、足よりも腕が疲れたりします(笑)。なかなかハードな一面もありますが、僕のおかげで目標のタイムでゴールできた、と泣きながら喜んでくれる人を見ると、その人の人生を変えられた気がしてすごくやりがいを感じられますね」

齋藤太一

特別な道具や技術も必要なければ、場所も時間も選ばずに手軽に始められるスポーツとして人気を集めてきたランニング。実はそうした認識が広まっていったのもここ十数年ほどのことで、盛り上がるきっかけのひとつに、2007年の東京マラソンの誕生があったとも言われている。

「東京マラソンが始まるまでは、マラソンといえばつらくて苦しい、学校の持久走のイメージが強かった。そんななか東京マラソンがはじまったことで、走ることへのネガティブなイメージが消えて、タイムや順位に左右されない、楽しみながら走るというランニング本来の魅力が広がっていったのだと思います。ただ、間口が広がった分、走ることから離脱してしまう人も一定数います。なので、ASICS STOREに来てくださる方には少しでも走ることを長く続けてもらえるよう、ASICS STOREのスタッフは適切なアドバイスと心地よいサービスでお迎えすることを心がけています。ランニングのことやシューズ選びなど、ちょっとしたことでも疑問があれば相談に乗れますので、ぜひ店舗へ足を運んでみてください」

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text: Keisuke Tajiri     photo: Yusuke Hayashi