運動が上達するためのコツは、身体とビジュアルのイメージあわせにあり

自己ベストの短縮方法、理想のフォーム探し、心構えなど、運動について追求し始めると、その答えは人から教えられることがほとんどですが、本の中から見つかることもあります。また、ある人は一冊の本との出会いから運動に興味が湧くなど、本は運動を始めたり探求したりするためのきっかけになります。読書で学んだことが運動に直結することもある。その意味において、幅広い読書が運動の役に立つと言えるでしょう。


そんなスポーツの時間をもっと充実させる本を、書店関係者やブックコーディネーターといったその道のプロフェッショナルたちが独自の視点からご紹介。第1回目は世田谷松陰神社前の人気ブックストア・nostos booksのオーナーである中野貴志さんによる選書です。

カラダを動かしたくなる本 vol.1 中野貴志

デザイン会社Neu(ノイ)の代表でもある中野さんが運営するnostos booksは老舗、ベテラン、若手といった幅広いキャリアの商店がバランスよく軒を連ねる松陰神社前商店街にあります。

カラダを動かしたくなる本 vol.1 中野貴志

nostos booksは2013年のオープン以前にオンラインショップとして営業していましたが、いざ実店舗を構えると「日本の芸術文化」をメインテーマに掲げた偏った選書は瞬く間に注目の存在に。与えた影響は本の領域だけにとどまりません。古き良き商店街に突如としてブックストアがオープンすると、そこから若い世代の店主たちが続々と出店するきっかけにもなりました。「なんとなくいい雰囲気の街だなと思っただけですよ」と出店の理由を振り返る中野さん。まさか自身の直感が街の風景に影響をもたらすとは想定外のことでした。


今回、中野さんが厳選した3冊はやはり良い意味でクセが滲み出るセレクトとなりました。中野さんの選書テーマは「身体とビジュアルのイメージあわせ」。「運動が上達するためのコツって、自分の頭の中に浮かぶ映像と実際の身体の動きをあわせるためのトレーニングにあると思うんです。イメージを広げて、その通りに身体を動かすための本を選んでみました」という、気になるラインナップを解説していただきましょう。

カラダを動かしたくなる本 vol.1 中野貴志

偉大なる写真家 ジョン・ミリ
ジョン・ミリ
ニッコールクラブ(1982年)

ストロボを連続発光させるストロボコピーという手法を生み出し、ピカソの描いた光の絵などでも有名な写真家ジョン・ミリの作品集です。バレエダンサーや縄跳びをする少女、砲丸投げの選手、ミュージシャンたちの連続する身体の動きは思わずため息が漏れるほどに芸術的。自然な動きというものは実に美しく無駄がないものなのですね。

カラダを動かしたくなる本 vol.1 中野貴志

亀倉雄策のポスター 〜時代から時代へ 1953-1996年の軌跡〜
東京国立近代美術館(1996年)

日本のグラフィックデザインを牽引してきた亀倉雄策というデザイナーをご存知でしょうか。代表作は、選手がスタートした瞬間を大胆に配置した1964年東京オリンピックのポスターです。スポーツの躍動感と臨場感が見事に収められ、そのビジュアルには見る者を一瞬で引き込むエネルギーが宿っています。スポーツの高揚感を最大限に引き出すデザインの力は、他にも万座スキー場や苗場スキー場、1972年札幌オリンピックなどスポーツに関わるポスターなどでも確認できます。

カラダを動かしたくなる本 vol.1 中野貴志

悪いやつほどよく走る
川崎ゆきお
青林堂(1982年)

僕が小さい頃、クラスの人気者になる条件は、足が速いやつと相場が決まっていたものです。そして、足が速かったりするのは大体悪いやつだと決まっていました(笑)。本書は漫画雑誌『ガロ』での作品で知られる、川崎ゆきおによる漫画。退屈な日常を打破すべく猟奇王がただ走る!その主人公がひたすら走る様から「自分らしさって何だろう?」と問いかけてくる(ような気がする)川崎ゆきおと心の問答を繰り広げてください。


<インフォメーション>

nostos books
東京都世田谷区世田谷4-2-12
TEL03-5799-798
営業時間12:00~19:00 水曜定休
東急世田谷線松陰神社前駅から徒歩1分
nostos.jp


Text:Shota Kato