普段からスポーツと接する人でも、体験したことのない競技も多いハズ。あまり知られていないけれど、気軽に始められて楽しくて健康にもいい、実はそんなスポーツがまだまだあります。本連載ではそんな魅力の詰まったスポーツを紹介していきます。今回は卓球をフィーチャー。

 

卓球といえば温泉やレジャー施設など、「遊び」として触れる機会が多いのではないでしょうか。ですが、昨年渋谷にオープンした「T4 TOKYO」はレストラン&バーや、現役実業団選手もコーチングを行うスクールを併設するなど、楽しみながらも本格的に卓球を「学べる場」として、にわかに注目を集めています。

 

Tリーグが開幕し、いま話題の卓球界がさらに盛り上がるきっかけとなるのか、施設を通して卓球の魅力を再発見します。また、誰でも一度は遊びとしてやったことがある卓球をスポーツの面からも注目。シューズの選び方や上達するコツについて、「T4 TOKYO」内のスクールに所属するコーチにレクチャーしていただきました。

卓球を気軽に楽しめ、本格的にレベルアップも

卓球の魅力はなんといっても、目にも止まらぬ超高速ラリーの応酬にあります。トッププロのサーブのスピードはなんと200km/h以上とも言われ、素人ではラケットに当てることさえもままなりません。プロはさらに回転のかかった複雑な球筋を瞬時に見極めて、打ち返さなければならないので、想像を超えた技術と判断力が求められるスポーツなんです。

 

そんな卓球の醍醐味や魅力をもっと広く伝えようと、2017年6月に渋谷駅にオープンしたのが卓球複合施設「T4 TOKYO」。ここには日本代表のユニフォームやASICSのシューズがならぶ卓球専門ショップ「VICTAS」や、卓球台が設置されたレストラン&バー「THE RALLY TABLE」を併設。さらには、遊び感覚で卓球を楽しめるだけでなく本気で上達したい人のために、元日本リーガーをはじめとしたトッププレーヤーから本格的なコーチングを受けられる専用スクール「TACTIVE」を備えているところも見逃せないポイント。過去にはTリーグとコラボしたイベントを開催したり、国内外のプロプレーヤーもお忍びで訪れたりと、いま卓球界で注目を集めるスポットです。

 

T4 TOKYO
T4 TOKYO

今回はTACTIVE自由が丘本店の店長の山内乙平さんに、初心者のためのギアの揃え方と、卓球が上達するコツについて、いくつかポイントを教えていただきました。

初心者のためのギアの選び方

・ラケットの選び方

準備するギアは主に、ラケットとシューズの2種類。ラケットの形状も大きく分けると2種類あり、以前は片面ラバーのペンホルダースタイルが主流でしたが、いまでは多様な打球を使い分けられる、両面ラバーのシェークハンドが9割以上を占めているのだそう。

両面ラバーのシェークハンド

ラケットの芯材は合板やカーボンを取り入れたものがありますが、「初心者の方には合板のものをオススメします」と山内さん。合板のラケットは放物線を描くような打球を描き、相手のボールに負けないような重みもあるので初心者〜中級者に最適。一方でカーボンのラケットは、まっすぐ飛んで落ちるイメージで威力を出したいという人に向いているそうですが、その分コントロールが難しいため上級者向けの仕上がりになっています。

 

ラバーにも厚さ、硬さ、回転のかかりやすさなどがあり、種類によってその効果はさまざまなので、本格的に取り組みたいという方はコーチと相談してみるのもいいかもしれませんね。

 

・シューズの選び方

前後左右の瞬間的な動きに対応するためには、シューズ選びも欠かせません。「踏み込みの衝撃をやわらげるためのクッション性、素早い動きに対応する軽量性、滑りにくい高いグリップ力。この3つを重視して選ぶとよいです」と山内さんのアドバイス。「とくにASICS製品はクッション性が高く、足への負担が少ないのが特徴ですね。同僚もみんなASICSを履いていて、機能性の高さだけでなく、デザインもスマートでファンが多いです。プロプレーヤーが愛用する理由も納得です」とコーチ陣からも好評です。

ASICS製品はクッション性が高い
ミッドソールに「FlYTEFOAM」を採用し、軽量かつ優れたクッション性を実現した一足

上達の秘訣はラケットの角度にアリ

やはり気になるのは、卓球が簡単に上達するためのコツ。いくつかNGなポイントがありますが、その中でも典型的なのがラケットの打面が上を向いてしまうこと。「初心者はネットを越えなくてはいけないという意識がつい働き、ラケットを上に向けてしまうことが多いですが、むしろ台に対してかぶせるようにすると、安定して返すことができます」

 

上達の秘訣はラケットの角度にアリ
上達の秘訣はラケットの角度にアリ

また、面の角度がプレー中に変わると打球がブレてしまうため、同じ角度を保つようにして、手首だけではなく腰を回すように体全体でスウィングすると、強い打球でレシーブができるのだそう。「さらに慣れてきたら、ボールをラケットの外側にあてるようにすると、遠心力が働いて回転力の高いレシーブを打つことができます」と山内さん。

 

「サーブはできるだけ低い位置から打ち出すことで、相手にとって取りにくい打球になります。右利きの場合は左足に体重を乗せ、身体の半分をサイドラインから外に出してトスを上げてサーブします。ここでもラケットの縁にあてるイメージで遠心力をかけて打ち出すことで、カーブのかかった打球になります。ただ、エンドラインより外側から打たないとペナルティになってしまうので注意が必要です」

 

TACTIVEではレクチャーの様子をタブレットで撮影し、編集した動画がレッスン後に送られてきます。「良いところと悪いところを動画にして、客観的に見られるようにすることで理解力が高まります」と山内さんが話すように、通常のレッスンに比べて上達のスピードが格段に早くなるのだそう。いまではスマートフォンでも手軽に動画撮影ができるので、オフのときのトレーニングで活用してみてはいかがでしょうか。

山内さん

運動が苦手な人でも楽しめるスポーツ

「実は卓球は運動があまり得意でない人でもトッププレーヤーになれる、めずらしいスポーツです。どちらかというとメンタル面が重要で、相手の心境を読み取ったり、揺さぶりかけるような戦略的な仕掛けが求められます。見た目もラリーの連続でシンプルかつ簡単そうに見えますが、回転ひとつで状況が一変する奥深いスポーツ。上達すればするほどその魅力がわかってくるので、ぜひみなさんもこれを機に取り組んでもらえるとうれしいですね」

 

いかがでしたでしょうか。これまで卓球は日常的なシーンでプレーすることは少なく、スクールも敷居が高いイメージでしたが、今回ご紹介したようにアクセスもよく、仕事終わりでも手軽に本格的なレッスンを受けられる施設もあります。いまでは卓球の若いプレーヤーも増え、小・中学校の部活動ではサッカーやバスケットボールと引けを取らないほど人気を集めているんだとか。

 

Tリーグも開幕し、これからさらに身近になっていくことが予想される卓球の世界。いまのうちにこっそり練習しておいて、かっこいいプレーが披露できると人気者になれるかもしれませんね。

T4 TOKYO

施設情報
「T4 TOKYO」

営業時間:
THE RALLY TABLE(卓球レストラン&バー) 11:00~23:30(年中無休 年末年始を除く)
VICTAS(卓球ブランドショップ)11:00~20:00(年中無休 年末年始を除く)
TACTIVE(卓球スクール)10:00~21:00(年中無休 年末年始を除く)

住所:東京都渋谷区神南1-12-16 ASIA BUILDING1F・B1F

電話:03-6452-5743(VICTAS内)

https://t-4.jp/tokyo/

 

text: Keisuke Tajiri photo: Isamu Ito