「TOKYO MARATHON 2019」に向けてトレーニングを続けている「アシックスストア」スタッフの高木智大さんと南谷咲良さん。今日は普段のランニングコースを離れ、小谷浩コーチとともに実際のコースを下見してみることに。コース上の見どころやお楽しみ、そしてレベル別の注意点などを臨場感たっぷりにレポートする。

平日の朝10時、都庁前の大通りは人影もまばらだった。ここに3万8000人を超えるランナーが集まるとどうなるのか。

余裕をもってお祭り気分を楽しもう

東京マラソン未経験者の2人が真剣な表情で、小谷浩コーチの言葉に耳を傾ける。

 

「この広い道路がすべてランナーで埋まって、道を折れた公園の辺りまで列が続きます。最後尾の方だと43㎞マラソンくらいになるかも(笑)。もちろんスタート地点からタイムは計測されるので、どんな状況になっても慌てずに。沿道の声援に応えるくらいの余裕を持って、お祭り気分を楽しみましょう」

東京マラソンガイドマップ

東京マラソンはフィニッシュの予想タイムによってランナーがブロック分けされている。周りのランナーは自分と実力がほぼ同じ。そう考えれば、特別な雰囲気にのまれることもないだろう。南谷咲良さんのようなマラソン初心者が、スタート時点で心がけたいこととは何だろう。

 

「とにかく意識してゆっくり走ること。10㎞まではウォーミングアップだと思って、リラックスして上半身を緩めてあげる。長丁場なので、後半は筋肉が固まってきます。固まってからほぐそうとしても遅いですからね。基本、東京のコースは5㎞くらいまではずっと下り基調なので、調子が良いと勘違いしてスピードを出しすぎないように。これは経験者にも言えることです」

東京マラソンチャレンジ vol.4

事前にコースの全体図を頭に入れておこう

東京マラソンのコースを実際にバスとランニングでたどってみると、平坦で走りやすいコースであることがよくわかる。だからこそ、前半で飛ばしすぎないことが大切だ。高揚感が背中を押すことはあるだろうが、フィニッシュはまだまだ先にある。

 

10㎞から20㎞はしっかり練習しているランナーであればまず問題なく走れる距離だろう。10㎞、20㎞、30㎞と、後半のエネルギー切れを防ぐために給水だけでなくエネルギーゼリーなどを口にしておきたい。後半は内臓も疲れてしまい、補給効果も薄くなってしまうためだ。

 

15㎞付近まで近づいてくると、いよいよ浅草は近い。

東京マラソンチャレンジ vol.4

「うわっ、大きい」
「モザイク模様までよく見える」

 

南谷さんと高木智大さんから歓声が上がった。目の前には浅草の雷門。道路を右折すると、東京スカイツリーが全景を現す。沿道からの声援もひときわ大きくなるエリアだ。 「良い景色ですよね。僕も東京マラソンではここからの眺めが一番好きです。2人にアドバイスしたいのは、事前に大まかなコースの全体図を頭に入れておくこと。雷門で15㎞、富岡八幡宮辺りまで来ると20㎞、銀座中央通りが30㎞近辺、残りの距離をしっかり把握しておきたいですね。」

 

富岡八幡宮辺りからは細かなアップダウンが続く。歩幅を少し短くすると、リズムが出て上り坂を走りやすくなるという。20㎞から先は多くのビギナーランナーにとっては未知の距離。高木君のように記録を狙う中上級者はここからが本番だ。

東京マラソンチャレンジ vol.4

どんなにゆっくり走っても、歩くよりは速い

「高木君はもう何度もマラソンを走っているのでわかっていると思いますが、できれば30㎞くらいでまだ体力が半分くらい残っている状態にしておきたい。よくスマホの電池に喩えるんだけど、20%くらいを切ると急激に電池の減る速度が速くなる。マラソンも終盤はああいう状態になることが多いんです。30㎞はちょうど銀座でもっとも華やかな場所。笑顔で駆け抜けたいですね」

東京マラソンチャレンジ vol.4

とはいえ、初心者にはずっと走り続けるのは困難かもしれない。「もしどうしても走ることが難しくなったらどうしたら良いですか」と、南谷さんが不安な表情を見せた。
「確かにだんだん足に痛みが出てくる頃ですね。そういう時は路肩に寄って、足首を回したり、ふくらはぎなどを軽くストレッチするのもひとつの手です。ただし、屈伸のようにしゃがみ込む動作はあまりお勧めしません。大きな動きを終盤にやると、足が攣っちゃうことがあるので」

 

序盤で上半身をほぐしながらリラックスして走るのはこうなることをなるべく防ぐためでもある。コース終盤にも東京タワーなど見所は多いが、長い直線が続き、精神的にはやや辛くなってくるかもしれない。終盤を乗り切るためにはどんなことが必要なのか。
「もし足が動くのなら、周りが歩いているからといってそれにつられないようにして下さい。どんなにゆっくりでも走った方が速い。一度歩き出すと、再び走りだすのは本当に大変ですから。呼吸が苦しい、胸が痛い場合は無理をするべきではないですが、40㎞を過ぎて足に痛みがない人はほとんどいません。ラストの2.195㎞で必要なのは根性です(笑)。無事完走できたら、フィニッシュゲートから少し進んで、混雑がない場所でシューズの紐を緩めて解放感を味わいましょう!紐を緩めるだけでもフィニッシュ後のちょっとしたケアになると思います。」

 

フルマラソンの距離を実感し、南谷さんは改めて日頃の練習の大切さを身にしみて感じた様子。高木君はより正確なイメージを掴めたことで、今後の戦略に生かしたいと意欲的だった。

 

「東京マラソンは走る雰囲気も応援の規模も他の大会とは別格。ぜひ楽しく、笑顔でフィニッシュしてほしいですね」と小谷さん。

 

2人は笑顔でフィニッシュテープを切ることができるだろうか--。

東京マラソンチャレンジ vol.4

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※現在掲載されている情報は「東京マラソン2019」の情報です。2020年の情報については 東京マラソン2020特設サイト をご確認ください。