ポイントは季節のフルーツの甘味と酸味のバランス

 

スポーツで汗を流しては栄養を摂る。シンプルなサイクルを繰り返して、私たちの体はつくられています。運動だけではなく食事を含めて体づくり。そんな運動のお供に取り入れてほしい一品を、料理家が栄養バランスを考えてご提案します。

 

初回の渡辺有子さんに続いて第2回目に登場するのは、八ヶ岳南麓のレストラン「Dill eat, life」を経営する料理研究家の山戸ユカさん。

山戸ユカさん

アウトドア料理を得意とする山戸さんの生活には、登山やクライミングがサイクルに組み込まれています。それはもはやライフワークと言えるほどにナチュラル。「私にとって山に行くことはリフレッシュなんです」と話す山戸さんのように、運動に対して“特別”という意識が薄まると、その人の生活のなかで体を動かすことが“日常”に変わっていくのだと思います。

 

そんな料理家という生業がアウトドアと隣り合わせにある山戸さんがつくるのは、オールシーズン対応の万能ドリンクであるフルーツハーブティー。

フルーツハーブティー

秋から冬にかけてはホット、夏場にはアイスといった具合にアレンジできるので、アウトドアはもちろん、ウオーキングやランニングの後にもほっと一息つくのにおすすめのドリンクです。

フルーツ
ハーブ
はちみつ

「ポイントは季節のフルーツの甘味と酸味のバランスですね。ハーブもお好みのものでいいので、一般的なミントやローズマリー、タイムなどを選んでみてください。ハーブは入れすぎるとフルーツの香りがなくなってしまうので、分量には気をつけましょう。味付けにはちみつを使っていますがジャムでもOKです」

 

体にいいものだけでなく、もう一歩先を見つめた食生活を

東京で暮らしていた時も週末は山に行くことが多かった山戸さん。年を重ねていくうちに、自然に近い場所で暮らしていけたら自分たちらしい暮らしができるのかもしれない。そう思い立ち、夫である山戸浩介さんと北杜市への移住と「Dill eat, life.」の開業を決めました。山戸さんが登山を始めたのは10年ほど前だといいますが、当時から山に登るなかで食について考えさせられていたのだとか。

山

「山で食べるものは、なるべく普段と同じように添加物を摂りたくないという気持ちがあって。せっかく苦労して登ったのだから、美味しいものを食べたい。それで自分で作ってみようと思ったんです。それからは着替えのTシャツを1枚減らしてでも野菜や果物を持っていき、山の上で調理して美味しいものを食べるという感じですね。今は添加物があまり入っていないフリーズドライのフードやオーガニックのサプリメントが流通する時代になっていますが、それでも山における食の意識はすごく低い。山頂でも下山後でもジャンクフードが一般的ですし、山頂で食べ残しを捨ててしまう人もいます」


景色
山での生活

「食への関心と同時に環境への配慮も意識していただけるような発信をもっとしていかなければいけない」と語る山戸さんは現在、山で暮らす料理家だからできる環境へのアプローチを模索しています。ASICSはスポーツ用品メーカーの立場から、地球に優しい材料や製造技術を研究し、実際にCO2排出量の削減と製品機能の向上に取り組んでいます。環境問題への取り組みはイノベーションや製品機能の改善にも繋がる。アウトプットの形は違いますが、ASICSの持続可能な製品・サービスの追求は山戸さんのスタンスに通ずるものがあるように感じます。

 

「サーファーはオーガニックな暮らしを実践している人が多いけど、山屋(山に登る人たちの総称)やクライマーにはそういう人って私が知る限りではほとんどいないんです。それはなぜだろうと考えると、サーファーは海に直接入るので、海が汚いと肌で感じることで、オーガニックな暮らしやエコな考えが自然と身につくと思うんです。でも、山では食べ残しを捨てても土に染み込むだけなので、自分はそこにまみれることなく直接感じないからなのかなって。小さい島国の日本では山も海も近い。私の場合は山での行いが水となって川から海に流れていきます。だから、もっと自分の行いに責任を持たないといけないと思うんです。そこで、私の活動として、山の人と海の人がもっと交流できる機会を作りたいなと考えていて」

山の生活

食べることは生きること。今後、環境に配慮して生きていくためには、体にいいものだけでなく、もう一歩先を見つめた食生活をしていく必要がある。それは山で生活し、料理を生業とする山戸さんだから見えてきたものだ。

 

「所詮、私は料理人なので料理しかできませんし、説得力も料理以外にありません。料理を通じてきっと伝わる。そう信じて、完全に改善することは難しいとしても、環境に負担をかけない暮らしをしていきたいですね」

山での生活を話す山戸さん

<レシピ>

フルーツハーブティー 4人分

【材料】

りんご 1/2個

プラム 1個

イチジク 1個

お好みのハーブ(レモンバーム、ローズマリー、タイムなど) あわせて1/2カップ分

はちみつ 適量

茶葉(アッサム) 10g

水 800ml

 

【つくり方】

1. フルーツは小さめに切ってハーブ類と一緒に耐熱の瓶に入れる。

2. お湯を沸かし、アッサムを入れたポットに注いて少し濃いめに抽出する。

3. 1に2を注ぎ、5分ほど置く。

4. カップに注ぎお好みではちみつを加える。

 ※アイスにする場合は3にはちみつを加えてから10〜15分ほど置き、氷の入ったグラスに注ぐ。

 

「ハーブは香りが放出されるところが葉っぱの裏にあるんですよ。なので、そのまま入れるよりも揉んだり潰したりすると、いい香りが広がりやすくなります。瓶に材料を入れる順番は最初にフルーツ、次にハーブです。ハーブを先に入れると香りが移りやすいので、ハーブはあくまでも香りづけに最後という感じですね。今回は茶葉にアッサムを使っていますが、お好みでダージリンなどでも問題ありません。さまざまな組み合わせで試してみてください」

フルーツハーブティー
フルーツハーブティーを作る山戸さん
瓶に注ぐ
カップに注ぐフルーツハーブティー

山戸ユカ

料理研究家。玄米菜食とアウトドア料理を得意とする。2013年、生まれ育った東京から山梨県北杜市に生活拠点を移し、夫・山戸浩介さんと「Dill eat, life.」を八ヶ岳南麓にオープン。著書に『DILL EAT,LIFE. COOKING CLASS 野菜を美味しく調理するコツと、12か月の献立レシピ』(グラフィック社)、『1バーナークッキング』(大泉書店)などがある。 Dill eat, life. オフィシャルウェブサイトはこちら


TEXT:Shota Kato PHOTO:Shuhei Tonami