古材DIYでつくる
「世界でひとつだけのテーブル」
古材DIYでつくる
「世界でひとつだけのテーブル」
俳優・滝藤賢一さん。
自宅に置く「理想のテーブル」を探し求めていたが、既製品ではなかなか琴線に触れるものに出会えずにいた。
「ないのなら、自分でつくってしまおう」 かつて舞台美術としてセット製作に携わっていたという滝藤さん。
ものづくりへの確かな熱量を胸に彼が向かったのは、千葉県・南房総。
古材・廃材に新たな命を吹き込む建築クリエイター・飯田善郎ベンヤミン氏の工房だった。
工房に足を踏み入れると、そこは時を経た古材や廃材の山。「うわーすごい。これは宝の山だね」と、滝藤さんは少年のような表情をみせる。
「人によっては、ゴミの山って言われたりしますけどね」とベンヤミンさんは自嘲気味だ。
「僕ら人間は生きても100年。でもこの木たちなんて、何百年っていう年輪が出るわけですよね。人間のシワと同じように、キズも古さもどんどん味になるよね。」と滝藤さんは語る。
さまざまな古材や廃材が並ぶ倉庫をいったりきたり。どの素材がいいか、二人でイメージを共有しあいながら探していく。しかし、なかなか滝藤さんの思い描くテーブルに合致する木は見つからない。
30分ほど探し続け、「これにしよう」と手にしたのは小ぶりではあるが重厚感のあるケヤキの木。「さすが、それはとてもいい木ですよ」とベンヤミンさんも太鼓判をおす。
風化した表面を丁寧に削り、木本来の赤みを引き出していく。「妥協したくない」という姿勢は真剣そのものだ。
当初は既製品の鉄の脚をつける計画だったが、磨かれていく天板を見て「脚も天然の木がいいな」と思い立つ。ふたりはまた脚となる木を探してまわる。
最終的に見つけ出したのは、古民家の屋根裏から出たという細く、それでいて強いケヤキの棒。
師匠の求めているものがわかるんです。
硬いケヤキに脚をはめ込むための穴を開けるが、ドリルを押し当てても煙が上がるばかりで、なかなか入っていかない。滝藤さんは汗をかきながらも、自分の手で、時間をかけて脚を差し込んでいく。制作時間が押し、「まだ時間は大丈夫かな」とスタッフに気を遣いながらも、手は止まらない。
ベンヤミンが口を開く「やっぱりものづくりが好きなんですね。いいものが欲しいっていう思いが伝わってくる。とても動きがいいですよね」。
「実は昔、舞台美術でセットを運んだり、組み立てたりしてましたから。今自分が何をすべきか、何を求められているか、常にアンテナを張りなさいと師匠から叩き込まれました」と下積み時代のエピソードもこぼれた。
なんとか3本の脚を打ち込み、仕上げに丁寧にオイルを塗り込んでいく。乾いた木肌が濡れたような艶を放ち、世界にひとつだけのテーブルが完成した。
いいよねぇ。めちゃくちゃいい。
出来栄えにご満悦の滝藤さん。「玄関とかで植物を置く台として使います。あとは洋服やマフラーを置いたりするかもな」。どっしりと重厚な天板を、華奢な3本の脚が支えている。「このバランスがたまらない」と満足げに答える。
足元のワーキングシューズについて聞かれると 「これのおかげで、作業にめちゃくちゃ集中できました」。 つま先に先芯が入っているため、重い木材を扱う際も心強かったという。「足元を気にせず動けるのでうれしいですね」。
実は、この靴を履いて千葉の海岸線を10kmほど歩き回ったという。「岩場も平気で登れるし、とても優秀な靴ですよね。愛着が出てしまったので汚れを一生懸命洗っちゃいました(笑)」。