2017年8月4日〜13日にイギリス・ロンドンで開催される世界陸上。トップレベルの選手たちの、しのぎを削る戦いが展開されます。今回注目するのは、日本代表選手がまとうユニフォーム。選手たちをサポートすべく、そこにはさまざまなアシックスのこだわりが秘められていました。アシックスジャパン スポーツマーケティング部の高橋路史さん、プロダクトマーチャンダイジング部の臼井聖児さん、水口さやかさんに、その秘密を教えてもらいました。

サンライズレッドの次なるステージへ。ストーリー性を高めたユニフォームのコンセプト。

———今回のユニフォームのコンセプトを教えてください。

高橋路史(以下、高橋) 今回のユニフォームは、ブラックとレッドをベースに、夜明けから朝日が登っていく力強い様子をデザインしています。2015年の北京世界陸上の際に生まれ、広く認知されるようになった“サンライズレッド”というキーワードを踏襲しつつ、どう進化させるかを意識しました。

臼井聖児(以下、臼井) 陸上競技のトラックは反時計回りなので、観客席にサンライズレッドカラーが見えるよう、太陽のデザインは選手の右側に。トップスのサンライズレッドの色とデザインを引き立たせるべく、パンツはブラックを採用しています。

水口さやか(以下、水口) 競技前後に着用するジャケットは従来のサンライズレッドカラーなので、移動の際やトラック外にいるときの日本選手団もインパクトがあると思います。

高橋 コンセプトを明確にしてストーリー性とデザイン性を持たせたのが、今回のユニフォームです。これまでのワントーンカラーのウエアとはまた違った“強さ”があるのではないかと自負しています。

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技術面の工夫や改善など、小さなこだわりが選手たちの結果につながる。

——技術面での工夫や改善点はありますか?

臼井 ランニング系トップスには、前面から背面までをくるむような一枚パーツを採用することで、背中側にメッシュ地の切り替えがくるよう改善しました。普通の洋服のように横に切り替えがあると、腕を振って動かす際にどうしても摩擦が生まれます。それを軽減してパフォーマンスを重視しています。

水口 背中で切り替えたメッシュ地にも意味があるんですよ。

臼井 背面から首にかけての背骨のラインは、最も温感センサーが発達している部分。ここから熱を逃がすようにすることで、衣服内温度調整がスムーズに行えるようサポートしています。

高橋 また、細かいことですが、ジップ系ウエアや女子選手のブラトップウエアもバージョンアップしているんです。

臼井 ジップ系ウエアにはこれまで「JAPAN」という文字がなく、メダルを獲得した際などの記念撮影でどこの国の選手だかわかりづらいという問題点がありました。そこで今回からは、すべてのウエアに「JAPAN」の文字を入れ、ゼッケンをつけても国籍がきちんとわかるように改善しています。また、女子のブラトップの丈を伸ばし、ゼッケンが付けやすく、さらにJAPANの文字が見えやすいように工夫をしています。

高橋 一見些細なことのようですが、日本をきちんとアピールするという意味では大きな前進だと思います。

レプリカウエアに見る陸上競技の盛り上がりと世界陸上ロンドンの先に見据えるもの。

——選手たちの反応はいかがでしたか?

高橋 広く認知されてきたサンライズレッドというキーワードを生かしつつ、コンセプトとストーリーをより明確にしたので、選手のみなさんからも、とてもいい反応をいただいています。

水口 ぱっと見た瞬間、「いいね」という第一声だったのがうれしかったです。

高橋 実はウエアの存在は、次世代の陸上界を支える20歳以下のジュニア世代にとってすごく大きなものなんです。憧れであり、目指すべき象徴なわけですから。彼らのリアクションを見ていると、これまで日本代表と一般の陸上ユーザーの間にあった距離が、ウエアの力も手伝って少しずつ縮まっているのを感じます。

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臼井 陸上に対する熱量がどんどん高まっているのは、一般向けに発売しているレプリカウエアの動向を見ていても実感します。

高橋 もともと陸上では、代表選手のレプリカを着るという文化はなかったんです。でもサッカーのような熱いファンを増やしたくて、2015年にサンライズレッドが誕生したタイミングで発売しました。

臼井 正直、最初に聞いたときは、大丈夫? 売れるの? と思いましたよ(笑)。でも、できるところからやってみようと試験的にスタートしたんです。

高橋 結果、選手たちの活躍のおかげもあって、いい反応をいただいています。私が絶対にやりたかったキッズサイズのウエアを着ているお子さんを見ると、コアな陸上ファン以外にも少しずつ間口が広がっているのを感じています。

臼井 現地に行かなくても、国内で集まって選手を応援するのが当たり前のことになるといいですね。最終目標は、サンライズレッドでナショナルスタジアムを埋めることです。

高橋 そのためにも、今回のロンドン世界陸上は重要だと思っています。そして、来る2020年の東京オリンピックをどうイメージしていくか。

臼井 今、選手たちもとてもいいサイクルで仕上がってきているのを感じます。その選手たちの活躍を、ウエアが後押しできるようになればいいと思います。


高橋路史(タカハシミチフミ)

アシックスジャパン マーケティング統括部 スポーツマーケティング部 陸上チーム所属。本プロジェクトでは、全体のコンセプトワークを担当。日本陸上連盟との調整や現役選手たちへのヒアリングなども行い、多角的な視点でウエア開発のアイデアを練る。サンライズレッドの名付け親でもある。

  臼井聖児(ウスイセイジ)

アシックスジャパン プロダクトマーチャンダイジング統括部 プロダクトマーチャンダイジング部 陸上・ランニングチーム所属。ウエアのテクニカル部分を担当。スポーツマーケティング部からの要望やヒアリング結果をもとに、社内のデザイン部門、生産・技術部門などと調整。選手のパフォーマンスを考慮した仕様、素材などの追求に余念がない。

水口さやか(ミズグチサヤカ)

アシックスジャパン プロダクトマーチャンダイジング部 陸上・ランニングチーム所属。入社2年目で、学生時代に陸上を経験。ユーザー目線を生かして、臼井さんとともにウエアのテクニカル面の開発に携わる。今後のウエア開発のヒントを探るべく、ロンドン入りしアシックススタッフとして世界陸上に初参加予定。


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PHOTO: Hiroyo Kai TEXT: Hitomi miyao