国内屈指の観光立県、沖縄。その中心であり、玄関口でもある県庁所在地『那覇』といえば、琉球王朝時代の面影を残す世界遺産の城跡や、沖縄観光の一丁目一番地『国際通り』、その周辺に広がる古き良き“マチグヮー(沖縄の言葉で『市場』)” 。紺碧の美ら海に、赤や黄、ピンクといった極彩色が艶やかな花や植物など情緒溢れる景色も楽しめます。
また、沖縄は通年で過ごしやすい国内唯一の亜熱帯気候で、夏でも最高気温35度超えの猛暑日は少なく、冬は10度を下回ることがほとんどありません。12月から4月にかけて(いわゆるオフシーズン)は、スポーツに適した気温&湿度が続き、毎年県内各地でさまざまなマラソン大会が開催されています。そんなランニングとの相性も抜群の沖縄は『那覇』を中心に、旅人でありランナーでもある大杉亜依里さんが、気の向くままラントリップ。お気に入りスポットを案内してもらいました。

■王朝時代の息吹が今なお色濃く残る世界遺産と城下町

王朝時代の息吹が今なお色濃く残る世界遺産と城下町

まずは、沖縄でも人気の1・2位を争う観光スポット『首里城』へ。『琉球王国のグスク及び関連遺産群』の一つで、2000年、世界遺産に登録されました。
「首里城は高校の修学旅行以来2回目だったんですが、もうずっと前なので全然覚えてなくて(笑)。でも、リニューアルした今回の印象は鮮烈! 鮮やかな朱色が、青空にも負けないくらい映えますね。そのくっきりとしたコントラストが、沖縄らしい! 赤や青・黄など、原色が大好きな私はかなりテンション上がりました」
それもそのはず。1992年に復元公開されたメインの『正殿』、実は2016年から3年かけて施された漆の塗り直し作業が、昨年末にようやく完了したばかり。さらに今年2月には、その“奥”の世界『御内原(おうちばら)』が新たに開園し、これまで以上の盛り上がりを見せています。
「これはランニングあるあるなんですが(笑)、自分の足で走ると、例えば街からお城との“距離”を感じたりして、昔の人々の暮らしに想いを巡らせられるんです。旅のおもしろみって、その辺りじゃないでしょうか」

■押しも押されもせぬ沖縄観光の一丁目一番地を散策

押しも押されもせぬ沖縄観光の一丁目一番地を散策

沖縄観光のメインストリートと言えば、『国際通り』。
空港から車で約15分。1.6km程の通りには、各種飲食店やお土産店などが充実し、近年は宿泊施設も続々と誕生。観光客にとっての利便性が高まる一方、インバウンド急増によるレンタカーなどの渋滞で、ランニング向きの環境とは言えません。ですが、ランナーの皆さんご安心を。国際通りから枝葉に伸びる、“スージグヮー(沖縄の言葉で『小道』)”に足を運ぶと、空気が一転。特に午前中、各店舗開店前の朝の時間帯は至って静か。雨や風、日差しを遮るアーケードも大規模に広がり、ランニングにはもってこいのロケーションがあちこちに広がっているのは、実は余り知られていません。
オススメは、昔ながらの町並みが残る“マチグヮー”巡り。失われつつある沖縄の原風景的ノスタルジックな世界観は、まるでいつか歩いた道 。どこか懐かしく、何だかホっとした気分にさせてくれます。朝食前にひとっ走りするなら、ぜひ裏道に迷い込んでみて下さい。きっと様々な発見があるはずです。その後、ゆるりと食事やショッピングを楽しむというスタイルが王道です。

■ランナーサポート充実のこだわりカフェでランチ

ランナーサポート充実のこだわりカフェでランチ

「やっぱり走った後のランチは格別! パスタは、しっかりとした味付けで食べごたえもあって大満足! 酸味のあるハイビスカスティーは、疲れた体が喜ぶ美味しさ。スッキリした味わいのキャロットジュースも体に優しいですね」
ティンカガは、着替えスペースや洗い場の提供、そして荷物預かりサービス(※)など、ランナーサポートも充実しています。 ※:営業日の10:00~18:30まで、店舗にてドリンク注文された方に限ります。

■まるで南欧の雰囲気が女子ゴコロをくすぐる、空港お隣の離島

空港から車でわずか15分、橋で繋がる離島『瀬長島(せながじま)』(豊見城=とみぐすくし)は、グルメやショッピングなどで人気の観光スポット。
「あの白い建物がとてもオシャレ! 女のコなら誰でも気持ちが上がりますねー。走ってどんなに疲れていても、かわいい! お茶しよう! ってなりそう。カフェやショップもたくさんあるし、目の前にはきれいな海が広がり、見晴らしの良い高台もある。飛行機が真上を大迫力で飛んで行ったのにはビックリ! まさに旅の醍醐味を感じました」

大杉さんも絶賛する白亜の建造物は、島のランドマーク『ウミカジテラス』。ゆるやかな斜面を覆う上品なたたずまいは、南欧はギリシャのミコノス島辺りを彷彿させます。個性的なカフェやお土産探しにぴったりな雑貨店など、30店舗以上が軒を連ね、連日多くの観光客で賑わいます。

島内には、沖縄では珍しい温泉を擁するリゾートホテルのほか、シーズン中はBBQ施設もオープン。四方を取り囲むビーチでは、マリンスポーツも盛んで、家族連れで釣りや潮干狩りを楽しむこともできます。丘上の展望スペースからは、数キロ先の雄大な慶良間諸島、夕暮れどきにはサンセットも見事。さらに、空港に隣接していることから、飛行機のダイナミックな離着陸を間近に見られるスポットとしても知られています。
ちなみに、周囲1.8kmの小さな島内には一周道路も整備され、ストレスのないランニングをお約束。近隣の『とよみ大橋』経由で、周辺のビーチを巡るルートが定番です。

“那覇ランナーの聖地”でちょっと本気のトレーニング

最後に紹介するのは『奥武山公園(おうのやまこうえん)』。『奥武山陸上競技場』や『奥武山総合運動場』などを総称した規模およそ29.8haの大型公園は、今年35回目を迎える県内最大規模の市民マラソン大会『NAHAマラソン』のスタート&ゴールにも設定され、“那覇ランナーの聖地”とも言えるスポット。広大な園内には、ジョギングコースが整備され、一部にはラバー園路も。開放感溢れる芝生広場では、準備運動やストレッチも気持ち良く行えます。他にも『沖縄セルラースタジアム那覇』や武道館、プールやテニスコート等、大小さまざまなスポーツ設備があり、キッズ向けのパークや売店、さらには3つの神社など、移りゆく情景は、ランナーを決して飽きさせません。

「平日なのにランナーがとても多くて、驚きました。今日は暑かったけど、それでもあれだけ走ってる人がいるってことはランニング熱が高いですね。独りぼっちで走るより、何だかがんばれそう! コースも広くて走りやすいし、トレーニングにも向いてますね。公園の中には池があったり、神社があって、この先何があるんだろう? という、ちょっと神秘的な雰囲気もあって、楽しめますね」
沖縄最大の都市・那覇にて、観光+ランニングを通して、充実した時間を過ごした大杉さん。
「沖縄はこれまで4・5回訪れました。今回の旅で、古都や繁華街、グルメにカフェ。大きな公園や海に離島まで! 那覇だけでもこんなに魅力的なスポットがあるんだと再発見できて、那覇の街がますます大好きになりました。次は、ぜひNAHAマラソンに挑戦したいと思います! 」
ちょっと新しい沖縄観光のススメ。皆さんも、ぜひラントリップしてみてくださいね。

TEXT・PHOTO :  Kiwamu Ogawa

コース:城下町を巡る首里散策コース