自分の呼吸が聴こえてテンションを高められる音楽

スポーツジムやフィットネスクラブに足を運ぶと、お気に入りの音楽を聴きながら自分の世界に入り込み、エクササイズに取り組む人たちを多く見かけます。音楽は記録や限界に挑戦する背中を後押ししてくれるときもあれば、そばで音を刻みながら寄り添ってくれることも。この連載では、運動のモチベーションを高めてくれる音楽を、さまざまな方面で活躍している方に紹介してもらいます。


第1回目の選曲者は結成20周年を迎えたロックバンド、THE BACK HORNのヴォーカリストである山田将司さんです。

THE BACK HORN


"KYO-MEI"をテーマにリスナーの心を震わせてきたTHE BACK HORN。バンドの代名詞は感情剥き出しのエモーショナルなパフォーマンス。自分たちの表現を支えていくために、山田さんはランニングをトレーニングに取り入れてきました。声の立ち上がりが良くなったり、ライブを最後までやり切るための体力が備わったりと、ランニングは自身の活動に必要不可欠なライフワークになっているそうです。


走ることと意識的に向き合っている山田さんは、先日こちらでも語ったように、東京マラソン2018にエントリーしました。車道から見える風景を楽しみながら、かつてマウイパラダイスマラソンでマークした3時間56分を更新したいと意気込んだ結果は、なんと3時間50分48秒。見事に自己ベストを塗り替えました。


東京マラソン2018を完走し、バンドのアニバーサリーイヤーに弾みを付けた山田さん。トレーニング時に音楽は欠かせない存在です。「普段は音楽配信サービスの曲をランダム再生していますね。アップテンポからダウンテンポまで幅広く聴きますけど、自分の呼吸が聴こえてテンションを高められる曲が好みです」と、こだわりを教えてくれました。山田さんがセレクトしてくれた3枚のアルバム、その理由を自ら解説します。


©ユニバーサル ミュージック


U2|『The Joshua Tree』

今回の東京マラソンと過去に走ったマウイパラダイスマラソンの時も音楽を聴きながら走りましたが、どちらも1曲目はU2の名盤に収録されている「Where the Streets Have No Name」という曲でした。アルバムの最初を飾る曲としても、走り出す曲としても最高で、徐々に高揚感を増す2分弱のイントロは走り出してペースアップしていく感じとリンクしますし、自然とテンションが上がりますね。




eastern youth|『感受性応答セヨ』(TOY'S FACTORY)

聴くだけでとにかく無性に動き出したい衝動が湧く、敬愛するeastern youthの大好きなアルバム。エモーショナルで疾走感が詰まったバンドサウンドと吉野寿さんの魂の叫びのような生命力溢れるヴォーカルを聴くと、負けてられねえぞっていう気持ちにさせてくれます。ランニングだけでなくスポーツ全般のお供に薦めたい。U2の『The Joshua Tree』と同じく、1曲目の「夜明けの歌」から走る気持ちが高まりますし、5曲目の名曲「踵鳴る」は前へ前へと足を進めてくれます。ラスト10曲目を飾る6分超の大作「素晴らしい世界」は苦しい終盤にこそ聴いてほしいです。




THE BACK HORN|『BEST THE BACK HORN Ⅱ』

1.扉 / 2.シリウス / 3.悪人 / 4.ビリーバーズ / 5.孤独を繋いで / 6.戦う君よ
7.世界中に花束を / 8.バトルイマ / 9.魂のアリバイ / 10.声
11.コバルトブルー / 12.何処へ行く / 13.枝

自分たちのベストアルバムから「繋がる」をテーマにプレイリストを作ってみました。自分を鼓舞する曲や誰かを想う曲を中心に、走る呼吸とともに体の内側と向き合い己の意識を増幅させ、全身から湧き出るエネルギーが誰かと繋がっていくというイメージです。呼吸の循環は意識の循環。常に新鮮な自分であり続けるために。


山田将司(やまだまさし)

ロックバンドTHE BACK HORNのヴォーカリスト。国内ロックフェスティバルでのメインステージ出演をはじめ、ライブバンドとしての地位を確立。スペインや台湾のロックフェスティバルへの参加を皮切りに世界10数カ国でも作品をリリースしている。2017年に発表した宇多田ヒカルとの共同プロデュース楽曲「あなたが待ってる」の話題は記憶に新しく、ベストアルバム『BEST THE BACK HORN Ⅱ』のリリース、6年振り3度目となる日比谷野外大音楽堂のワンマンライブの成功と恒例のスペシャルイベント『マニアックヘブンツアー Vol.11』の成功を経て、2018年に結成20周年を迎える。3月7日にインディーズ期以来となるミニアルバム『情景泥棒』のリリースをし、アニバーサリーイヤーの活動を加速させている。


Text:Shota Kato